2021年02月22日

ノルウェー出身の若い男と暮らしてみれば vol.4 これからの猫の話をしよう

ノルウェージャンフォレストキャットのルル(下)とアビ(上)。この2匹とまったり暮らしていたはずが…

文・写真/池田美樹

私は、2匹の王子様(ノルウェージャンフォレストキャット)とまったり楽しく暮らしている東京ひとり暮らしの独身女性。そんなある日、事件が起きました。

2021年。1月半ばに遠距離で独居していた父親が死んでいたという事件があり、急遽、会議のキャンセルや締切の後ろ倒しの算段をし、故郷に帰りました。

「事件」と書いたのは、警察沙汰になったからです。

あまり連絡を取り合ってもいなかったけれど、その日、何度電話しても出ない父親が心配になり、私が頼んで訪れてもらった叔母によって発見された父親は、自室で倒れて死んで1週間が経っていました。

生きていたら119番、死んでいたら110番。その知識はあったので、震える声で電話をかけてきた叔母には110番するように伝えましたが、警察には念のため119番もするようにと指示されたそうです。

この顛末はいろいろ興味深いのでまたのちほどお知らせするとして、今回は猫の話。

 

【過去記事】ノルウェー出身の若い男と暮らしてみれば vol.1 出会い
【過去記事】ノルウェー出身の若い男と暮らしてみれば vol.2 猫の匂い
【過去記事】ノルウェー出身の若い男と暮らしてみればvol.3 2匹目登場

 

行き場を失った4匹の老猫

実家に残されていた老猫たち

実家では長年、猫を飼っており、私が初めて猫を拾って連れて帰った30年前から通算27匹の猫を飼育してきました。すべて保護猫か、どなたかから持ち込まれた猫です。

母は地域のTNR活動もしており、動物については関心の高い方だったと言っていいでしょう。TNR活動とは、T=TRAP(つかまえる)N=NEUTER(不妊手術する)R=RETURN(元の場所に戻す)の頭文字を取った言葉で、捕獲器などで野良猫を捕獲し、不妊・去勢手術を行い、元の場所に戻すことです。

ここ10年ほどは新しい猫を迎え入れることはやめており、この時は、ほぼ12歳くらいであろうと推定される老猫4匹が実家にいました。

「私たちが死んで猫たちが残されたらどうしよう」と母はよく言っていましたが、そういう母も半年前に入院し、父がひとりで面倒を見ていたのです。

叔母が実家に行ってくれたとき、その猫たちは、段ボール箱を食いちぎって鳴いていたそうです。なにしろ1週間、餌にありつけなかったのですから。むしろ、よく生きていたというべきかもしれません。たっぷりと水だけはあったことが命綱だったのでしょう。

 

老猫とともに故郷に移住!?

どうしよう。

私の東京・渋谷区の狭い1DKのマンションは既にノルウェージャンフォレストキャットが2匹おり、これ以上飼育するのは難しそうです。

父の死後の様々な手続きを進めながら、東京や横浜でTNR活動をしている友人、福島をはじめ災害現場に入って動物保護活動をしている友人、故郷の各種団体などに当たってみましたが、12歳にもなる老猫の保護および譲渡は相当難しいだろうとのことでした。

一時保護を申し出てくださった団体さんもあったのですが、事情が折り合いませんでした。伺ってみると「飼育者死去」の保護依頼は年々、かなりの割合で増加しているとのこと。

さて、どうしよう。

まずは、仕事のほぼすべてがリモートワークになった今、2匹のノルウェージャンフォレストキャットを連れて実家に移住しようかと思いました。その場合の様々なことをシミュレーションしましたが、やはり長年拠点にしてきた東京を離れるのは難しそうです。

次に、友人に教えてもらった「老猫ホーム」について調べました。様々な事情で飼育できなくなった老猫を、生涯預かりという名目で飼育してくれる施設があります。料金表を見ると、12歳の猫で、年払いだと毎年30〜50万円、一括払いだと120〜150万円ほどかかることがわかりました。

4匹預かってもらうと500万円前後! これは到底、無理な話です。別の意味で「命の重さ」を感じました。

なによりも、葬式から1週間実家に滞在し、猫たちの面倒を見ていた私には、だんだん情が湧いてきていたのでした。猫たちも私に慣れてきたようでした。

「東京のマンションで…飼うか…」

そう決心し、いったん東京に戻り、心身の体制を整えて、今度は老猫4匹を東京に連れてくるためにまた1週間、実家に帰ることにしました。この時は既に仕事を完全再開しており、リモートワークという状況をとてもありがたく感じました。

 

老猫捕り物大作戦

猫を捜索してくれた友人とようやく捕まった「プリン」

なぜ1週間かけるかというと、老猫たちの健康チェックとワクチンのためです。

老猫たちはおそらく、ワクチンを受けていない。両親にそんな話を聞いた記憶はありませんでした。また、家猫とはいえ、何か病気をもっていて、東京の猫たちに移ったら困ってしまう。

そこで地元の獣医師に相談したところ、ワクチンを打ってすぐに飛行機で猫を移動させるのは好ましくないので、1週間は様子を見てほしいと言われたのです。

実家に到着したら、猫たちを1匹ずつ獣医に連れていき、エイズ検査、白血病検査、血液による健康検査、ノミダニ駆除をし、3種混合ワクチンを打ってもらいました。

様子を見ること1週間。さあ、猫をケージに入れて空港へ運ぼうと友人が車で迎えに来てくれたその瞬間、なんと1匹がケージ抜けをして行方不明になってしまいました。しかも玄関が空いていたので、家の中に逃げ込んだのか外に行ってしまったのかわかりませんでした。

この真ん中の、通称「宇宙船リュック」のジッパーを前脚で開けて逃走していた

半狂乱になって少し探し回りましたが、見つからない。結局、私は泣きながら3匹だけを飛行機に乗せて連れて帰ってきました。ちなみに猫1匹を国内線に乗せる場合、どの航空会社でも客席に持ち込むことは不可で、1匹片道6000円の料金がかかります。LCCには動物運搬不可のところもあります。

空港に送ってくれた友人達が鍵を預かってくれ、毎日、残った1匹を探しに行ってくれると約束してくれました。東京では東京の友人夫婦が羽田空港まで車で迎えに来てくれ、渋谷区の自宅まで送ってくれました。ありがたかったです。

さっそくその日の夜、熊本の友人達が夕食後に実家に出かけてくれたのですが、なんと、そのタイミングで家の中で見つかったという連絡がありました。

友人達いわく、「室内の餌が少しだけ減っていたので家の中にいると確信して1部屋ずつ探して回った」。なんという心強い友人達なんでしょう! 田舎らしく、8部屋もある我が家での夜の捜索、本当にありがたかったとしか言いようがありません。

 

老猫たち、東京へ行く

今のところ東京の我が家の玄関先にいる老猫タイガー(上左)、チョコ(上右)、ミミー(下)。プリンは隠れています。

残った1匹の猫は、翌日に私が日帰りで連れに行きました。飛行機で、です。また故郷の友人が空港への送りを申し出てくれました。「昨日も会ったねえ」と笑って車を出してくれた友人には感謝しかありません。

残された猫は手強く、その時も逃げ回ってなかなか捕まらないので、叔母にも加勢にきてもらい、3人で追い込んだあげく、私があらかじめ買っておいた大きな洗濯ネットに押し込みました。

よほど怖かったのでしょう、その猫は東京にやってきて1週間、下足箱の下から一度も顔を出しませんでした。

この捕り物・移動大作戦から今で約2週間。元々いた2匹のノルウェージャンフォレストキャットとは、狭い東京の我が家をドアで仕切ってまだ互いの顔を合わせないようにしていますが、もちろん2匹の王子様たちは新入り猫の鳴き声や気配に気がついています。

しばらくは餌も食べなくなるほどナーバスになっていた2匹に私は一度、「あなたたちを以前、かわいがってくれたこともあるおじいちゃんが亡くなってしまい、あの4匹は私がここに連れてくるしかなかったのだ。理解してほしい」としっかり目を見ながら説明しました。

ナーバスな様子のルルとアビ

わかってくれたのか、それから2匹はドアの向こうから鳴き声がしてもあまり気にしなくなったように思います。

朝の猫のお世話に3倍の時間がかかるようになったけれど、だんだん慣れてもきました。

夢は6匹の猫たちがいつか同じ部屋で過ごせるようになって、3歳のノルウェージャンフォレストキャット2匹と推定12歳の老猫たちの猫だんごを見ること。

そんな日がいつか来るだろうと、実は密かに信じてもいるのですけれど。

 

▼猫が落ち着かないときは?


 

▼猫のおやつには?


 


2021年02月22日 Posted by miki | カテゴリー: Life-Style | タグ: ,

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