2020年11月03日

干場弓子さんに聞く、美しい60代を迎えるコツ

東京で、強く、美しく、賢く働く40代以降の人のためのメディア「Beautiful 40’s(ビューティフルフォーティーズ)」。当メディアを運営する一般社団法人の理事に、新たに干場弓子(ほしば・ゆみこ)が就任。「60代をもっと美しくしたい」と語る彼女に、編集長の池田美樹がロングインタビューを敢行しました!

一般社団法人ビューティフル・フォーティーズ
代表理事・編集長 池田美樹 
>Twitter  >Facebook  >Instagram
理事 干場弓子 >Twitter  >Facebook  >Instagram

 

奇跡の65歳と呼ばれたい!
干場弓子さんってどんな人?

美樹: この度、「Beautiful 40’s(ビューティフル・フォーティーズ)」のメンバーが4人になりました! 

 理事一同: パチパチパチ〜!!

 美樹: 出版社「ディスカヴァー・トゥエンティワン」のファウンダーで、ビジネスプロデューサーでもある干場弓子(ほしば・ゆみこ)さんが、理事に加わってくださいました。弓子さんには、以前にも40’sのオンラインイベントにご出演いただいており、当団体を熱く応援してくださっていたので、正式に理事としてご加入いただきました。

弓子: こんにちは。よろしくー。

美樹: 我々は「40代向けのメディア」って思われがちなんですけど、実は「40歳を人生の折り返し地点として、それ以降を丁寧に考えよう」っていうコンセプトなんです。

弓子: もともと、40代だけがターゲットじゃないんだ。

美樹: そうなんです。今、当団体のメンバーは、40代が2人、50代が1人、そして60代の弓子さんが参加してくださったということで、非常に良いバランスだなと思っています。

弓子: 確かに40代は楽しいし、50代も良かったけど、60代も楽しいわよ。

美樹: 素敵ですねー! 今回掲載した弓子さんのプロフィールに「奇跡の65歳と呼ばれたい」と書いてあって、まさにと一同膝を打ったのですが。ぜひ、40歳を過ぎると、人生の新たな果実が味わえるよ、といった、希望あるお話を聞かせていただきたいな。

弓子: 私は60’s(シックスティーズ)のコーナーを受け持たせていただくことにします。名付けて、「Sensual 60’s(センシュアル・シックスティーズ)」!

 

「40代以上の生き方に、希望あるお話を」編集長・池田美樹

 

性的なセクシュアルではなく、
五感から生まれるのがセンシュアル。

美樹: センシュアル(Sensual)っていうのは、どういう意味ですか。

弓子: センシュアルってね、日本語の辞書を見ると、ただ「官能的」と書いてあるの。セクシャル(Sexual)は、文字通りセックス、性的魅力っていう意味なんですけれど、センシュアルには「官能」っていうニュアンスがありますね。

美樹: ふむふむ。

弓子: さらに日本語では「官能」と「性的魅力」も同じと捉えられがち。でもセクシャルとセンシュアルは違うんです。センシュアルっていう言葉は「センス」から来ているから、「感覚」なんですよ。すなわち、五感なんです。五感で感じ取ることから生まれる、豊かな情緒、感性。女性や男性ならではの美しさ、繊細な感覚。

美樹: ああー、素敵ですね。大人の色気というニュアンスもあって。 

弓子: でしょ? 現代だと男女共同参画とか、ユニセックスなど、「性差をなくし、完全に同じものとして行動しよう」っていう風潮があるじゃないですか。でも私は、女性、男性それぞれの美しいちがいを肯定しながら、お互いに尊敬しながらやって行くのが素敵だと思うわけ。 

美樹: 弓子さんの中で、「センシュアル」って言葉は以前からテーマとしてあったんですか?

弓子: いえ。その言葉を初めて知ったのは、3、4年前かな。私が出版社の社長として、皮膚科医の岩本麻奈(いわもと・まな)先生と一緒に、フランス・パリに取材に行った時ですね。

美樹: 麻奈先生ね。

弓子: いろんなパリジャン、パリジェンヌに、美容法中心の取材をしていた時、パリに30年以上住んでいる日本人の男性カメラマンが放った一言が……。

美樹: はい。

弓子: 「日本にはセクシャルはあるけど、センシュアルはない」!

美樹: えー!

 弓子: それで「おー、センシュアルってどういう意味か」って聞いたら、彼はこう言ってました。「日本で、男と女がいると、若かろうと熟年だろうと、なんかすぐセックス、スケベな方に行くよね。でも、もっと情愛を込めたセンシュアルな関係って、日本にはないよね」って。

理事一同: 確かにー!

弓子: そうしたら麻奈先生が「センシュアルって、ひょっとしたら『もののあはれ』みたいなものかな?」って。日本は平安時代、江戸時代と、性に対して割とおおらかだったじゃないですか。キリスト教の宣教師がやって来るまではね。だから当時は、いろんな、五感から感じるものを、割と素直に受け取っていたのかもしれないねって。

美樹: なるほどなあ。文化的な話ですね。「センシュアル」は、日本では使われてない、意味が浸透していない英単語ですね。

弓子: 言葉は知ってるかもだけど、一般的に使っていないよね。

美樹: 結構あるんですよ、そういうの。以前40’sの話題に出たものだと「マチュア(mature)」とかね。 

弓子: マチュア、そうね。確かに使わないね。

美樹: 英語圏の人は「マチュアな人」っていうと、知的な女性をすぐイメージできると思う。でも日本では、今までに女性誌が何度も何度も「マチュア」って言葉を流行らせようとしたんですけど、結局、定着していないですね。私たちもこの言葉を定着させたいんですけど。

弓子: うんうん。

美樹: 「センシュアル」は、香水ブランドのプレスリリースに書いてあるのを目にするぐらいかな。

弓子: 香りが感覚を刺激するから。

美樹: 嗅覚から、自分の立体的な魅力を表現するという意味で。

弓子: それって、セクシーな、とは全然違うね。センシュアルとセクシーとの混同が嫌なのよねえ。

美樹: センシュアルに相当する日本語が、ないんですね。

 弓子: それがないところが、日本の男女関係の貧しさの表れだと思うのよ!

 

「センシュアルな60代を増やしたい」新理事・干場弓子

 

センシュアルな60代であるために
今、諦めちゃいけないものは何?

弓子: 私たちが20代のとき、40年前ですね。男女雇用均等法とか、総合職・一般職という言葉も、まだないような時代でした。4年制の大学を出ても、文系だったら大企業で事務か、秘書しか就職先がない。

美樹: アシスタントですね。「お茶くみ」っていう言い方もありましたね。

弓子: 「寿退社(ことぶきたいしゃ=結婚退職のこと)」っていう言葉もあったぐらいで。

美樹: ありましたね。

弓子: 歌手の山口百恵(やまぐち・ももえ)さんが、年齢でいうとちょっと下。

美樹: あ、あれって寿退社なのか! なるほど。アイドル絶頂期に、引退コンサートの最後、マイクをステージに置いて去ったパフォーマンスが伝説となっています。

弓子: そう、寿退社よ。あのとき、みんな失望したの。彼女はすごく新しい存在なのかと思っていたのに、「なんだ結局、私たちと同じね」って。 

美樹: なーるほどー!

弓子: その後は、松田聖子さんね。当時、一般企業では結婚退職は少し減ったけど、さすがに子どもを産んだら辞めるよねっていう時代。でも彼女は、結婚しても、子どもを産んでも仕事を続けようとした。そういう意味で新しかった。

美樹: ふむふむ。働く女性、子どもがあって働く女性のモデルケースとして、最先端にいた世代なんですね。

弓子: 40歳の人が、60代になるときに想像するのは、一般的には親の姿だと思うんですよ。現時点における60代の人をモデルに、自分の20年後、30年後を想像するでしょう。でもあなたの20年後、30年後は、今のあなたのお母さんとは全く違うふうになる。

美樹: そうですよね。

弓子: 私の周りには、働いて、会社の経営にコミットして、子どもも産んで、かつセンシュアルな状態で(笑)、60代を迎えている女性がたくさんいるのよ。でも世の中的には少ないと思うの。そういう生き方もあるのよって示したい。

美樹: センシュアルな60代につながる道として、40代・50代の私たちは今、何をすれば良いのか。あと何を諦めちゃいけないのかを聞きたいな。多くの40代・50代は、もう既に諦めているんですよ、センシュアルであることを。

 

自分の限界を自分で決めていた
30代のとき

弓子: 私が35歳ぐらいのときの、忘れられない体験を話そうか。私はファッションが大好きなんだけど、当時グッチ(GUCCI)で、カシミヤの黒のニットワンピースを見つけたんです。ひざ上10センチぐらいの丈で、すごくシンプルなワンピ。値段も覚えてる、15万円。それは当時の私にとって、買えはするけれど、2〜3年しか着ないものには無理で、長く着られるものなら頑張って払える金額だったわけです。 

美樹: バブルの頃ですしね。弓子さん、細身だから似合いそう。

弓子: 実際、試着したらすごく似合うわけ(笑)。「ああー、いいなあ」って思った。ところが、「これ、35歳の今は似合うけど、すぐ着れなくなっちゃう。40歳になったら、ミニのニットドレスなんて着れないな」って思ったんです。長く着れないなら15万円は高い。そう思って買わなかった。

美樹: っていうか弓子さん、今でもミニスカート、めちゃくちゃ着てるじゃないですか(笑)。

弓子: そうなのよ!

美樹: でも35歳の自分は、「どうせ40歳すぎたら、ミニなんか着ないに決まってる」って、勝手に諦めたわけですね。自分で自分に限界を作っちゃったってことだ。

弓子: 悔しいっしょ?

美樹: 悔しい。それは悔しいですね。

弓子: もうね、忘れられない。あのニットドレスのことが。あのときの試着室の様子もね、店員さんの「お似合いなのに……」みたいな顔も、まるで覚えてる。

美樹: 25歳で「売れ残りのクリスマスケーキ」って言われていた時代ですもんねえ。40歳を過ぎたら、ミニスカートは着ないよねっていう思い込みが。

弓子: 60代の今でも、シャネルとかのもっと高い黒のニットドレスを持っていて、着てるわけですよ。

美樹: 自分で限界を作ってた。「ガラスの天井」を、自分で作っちゃったんですね。自分でやめたから余計に悔しいですね。

弓子: そうなんです。まあ、さすがの私も65歳を過ぎてから、ニットミニを新たには買うのやめようと思いましたけれど(笑)。

美樹: あの時、買っていたら、そこから30年着られた(笑)。

弓子: そうなの。今、40代でミニを着るのに抵抗ない人も多いかもしれないけど、当時はありえないと思っちゃったのよ。同じように「今の40歳の人はこうだから」とか、「40歳になったら、50歳になったらもうありえないから」「みんなが言うから」って、自分で勝手に決めちゃう。そういうことがあるでしょう。

美樹: ありますねー。

弓子: それがね、最もセンシュアルを削ぐものだと思う!

美樹: うわー、なるほど深い。納得です。確かに、無意識に年齢であきらめたものってあるかも。

弓子: あるでしょう。

美樹: 39から40になるときとか、49から50になるときとか。刻みのときに思いやすいと思いませんか? 「そろそろ40だから」「そろそろ50だから、この辺にしておこう」みたいなやつ。

弓子: そうかもね。でね、海外のロンドンやフランクフルトに出張に行った時、外人さんたちは50歳、60歳に見えても、太っていても、平気でひざ上20センチぐらいの、すごいミニをはくのね。

美樹: そうですよね〜。ノースリーブで腕をパーンと出してね。胸元バーン出して。日本もそれでいいですよね。年齢は関係ないですよね。

 

 

2020年プラチナエイジ賞 授賞式の様子

 

何歳になっても限界を作らない
そして人の意見も気にしない

弓子: 私、今年2020年の春に、60歳以上の輝いている人を表彰する「プラチナエイジ賞」を受賞したんです。プラチナエイジのファッション部門賞。

理事一同: おめでとうございます(拍手)! 

弓子: コロナ禍の中、すごく限定した人だけで対面で集まった授賞式をやったのね。入れたのは、受賞者と、前年度の受賞者のみ。つまりそこにいる人は、全員60歳以上なわけですよ。

美樹: 一般の人は参加できなかったんですね。

弓子: そしたら、ミニスカートだらけ(笑)。私でもさすがに、膝上のミニスカートじゃなくて、膝丈ぐらいのスカートで行ったのに。

美樹: ああー(笑)!

弓子: 「え! いいんだ。」って思った。私もまだ限界を作ってたよ。

美樹: 超いい話です。まだ限界に気づく、っていうの、すごいな。

弓子: みんな、ミニスカート似合ってたしね。 

美樹: ところで、「あの人、いくつになってもミニスカートはいてさ」、「はしたないよね」っていう声を気にする感覚が。結構あると思うんですよ。

弓子: あるあるある! それは「嫉妬(しっと)」ね。

美樹: ああそうですね。足の引っ張り合い。

弓子: そうよ。

美樹: 大抵そこで傷つくじゃないですか。みんなそれを気にするんですよね。

弓子: 「道を歩いてて、見られたらどう思うかな」「あのおばさん、いい年して」みたいなことか。

美樹: 「ミニスカートはいたら、周りがなんて言うか」とか。

弓子: そもそも、私の場合、そういうこと言わせないけど(笑)!

美樹: 弓子さんに面と向かって言う人は、なかなかいないと思います(笑)。一般的には、陰口を言うんですよ。例えば弓子さんの知り合いAと、知り合いBが、そういう会話になるんです。

弓子: あるよね、あるよね。でもまあ、自分に聞こえてなければ、いいんじゃない? 気にしない。そういう人と、関係を持たなきゃいいのよ。

美樹: 実は私も、何か言われても、自分が良ければ気にならないタチなんですけどね(笑)。

弓子: まあ、私にもちょっとはあったかな。でも65歳になってから、本当に、道行く人の目も気にならなくなったな。いい意味で、「道ゆく人も、もう私のことなんか見てないだろうな」っていう感じ。ある一定以上の年代を過ぎればね。

美樹: なるほど。まあ究極に言うと、似合っているかどうかは自分が決めればいいですよね。

弓子: 結局さ、周りの人は案外見てないし、逆に「結構いいね」って思ってたりするのよ。それが嫉妬や悪口となって表れる場合もあるし、賞賛になる場合もある。でも結局、それらを気にするよりも、実は自分自身の制約のほうが大きいっていうことですね。

 

自分で年齢に関する
ガラスの天井を作らない

美樹: 今日はいいお話をありがとうございました。センシュアルな60代を迎えるコツは、「自分でガラスの天井を作らない」ことですね!

弓子: そう。40代にとっては「50代の天井を勝手に作らない」。50代にとっては「60代はこうって決めつけない」。自分で制約を作らないってことね。

美樹: それですね。「自分で無意識に作っている、ガラスの天井を打ち破れ!」 このメディア「Beautiful 40’s」は、そういうメッセージを送って行きたいですね。今後も弓子さんに「センシュアル・シックスティーズ」をいっぱい語っていただきたいと思います。お楽しみに!


写真/田頭拓人

撮影ディレクション/石山照実(Anna Photo

取材・文/守山菜穂子(Beautiful 40’s)


関連記事