2020年11月23日

「自分のやりたいことをする」のが幸せの条件

この記事は、2017年2月3日に行われたイベント「池田美樹50th生誕祭」でのトークイベントを書き起こしたものです。この記事は後編です。

前編はこちら「年齢非公表」だった私が、カミングアウトできたわけ

 

 

「池田美樹50th生誕祭」の様子。2017年2月撮影

 

「半世紀クラブ」へようこそ!
新人としてのスタート

美樹: 私が50歳になった時、Facebookにそう投稿したら、コメント欄に「半世紀クラブへようこそ!」と書いてくれた人がいたんです。

菜穂子: おお? 半世紀クラブ。そういう言葉があるんですね!

美樹: あとは「ハーフセンチュリークラブ、ウェルカム!」とか書いてくれた先輩もいました。

菜穂子: なるほど! 「クラブ化」してるんですね。

美樹: 50歳にならないと入れてもらえない秘密結社があるんだ、っていうことを、一昨日、初めて知りましたね(笑)。

菜穂子: うらやましい(笑)! 何か、うらましいですね! いいなあ。

美樹: その中でね、「ハーフセンチュリークラブへようこそ! ナウ ユア ザ ヤンゲスト(NOW YOU ARE THE YOUNGEST)」って書いてくれた人がいる。

会場: (あー! なるほどー!)

菜穂子: それは面白いですね。

美樹: 「そうか! 半世紀クラブの新人じゃん、私」と思って。ワクワクの多い新人として、イチから始めたいな。

菜穂子: よく「人生の折り返し」という言葉も使いますけれど。

美樹: うん、まさにそう捉えています。

菜穂子: 30代とか40代で、歳をとるのはイヤだと思っている方、いらっしゃると思うけど。こういう話は勇気をもらえますね。視点をどこに置くかっていう話ですよね。ハーフセンチュリークラブの1年目であると。

美樹: 50代になっていない方は、まだハーフセンチュリークラブのなんたるやを、知ることもできませんから。

菜穂子: ギギー。なんか悔しいぞ。

美樹: そちら側にいらっしゃる方は、扉もまだ見えていないと思うので。ちょっとお楽しみに!ということで(笑)。私は今、その門が1センチくらい開いたところかな。

菜穂子: まだクラブの2日目ですからね。

美樹: そうなんです。今日は会場に、人生の先輩方もたくさん来てくださっているんですけれど。楽しみ方を教わりたいですね。

 

90歳まで生きる私たち世代
早めに準備をして

菜穂子: 日本人の平均寿命って、女性87歳、男性81歳なんです。みなさん、その平均寿命から、今の自分の年齢を引いて。あとどのくらい生きるのか、考えてみたことはありますか?

会場: (数えたり、何歳だ!とつぶやいたり)

菜穂子: それで、どこが自分の折り返し地点なのかは意識するといいと思います。

美樹: 自分が人生の午前中にいるのか、午後にいるのかね。

菜穂子: ただ、私たちが80代になる頃には、90歳、100歳まで生きる人がさらに増えると言われてますね。医薬の発展により、平均寿命が伸びる可能性が高い。だから、あとどのくらい生きるのかに+10歳ぐらいは必要です。

美樹: 超高齢化社会ですね。「60歳で引退する」っていうモデルは、もう完全に崩壊しましたねー。

菜穂子: 定年も基本65歳になりましたしね。

美樹: 会社の定年は、もうそんなに伸びないと思うので。長く仕事をするっていうことと、「老人になる」っていうことの間で、自分が何をできるのかは、早めに準備をして考えた方がいいなと思っています。

菜穂子: 今までの「若手」と「中年」と「高齢者」っていう分類、ちょっともう無理がありますよね。中年でもないし、高齢者でもないっていう。ここらのジャンルの名前がないんですよ。

美樹: ないですね。名前を開発したいですよね。

菜穂子: ぜひ。雑誌編集者たるもの、ネーミングしてこそ。

美樹: 私は普通に「定年退職をするまで会社に勤める」って、つい数年前まで普通に思ってたんですけど。だんだん「いや、これはどうも、そういう感じではないぞ」と思い始めて、昨年(2016年)、49歳のときに大学院を受験しました。自分に新しいスキルをつけて、別の人生を送ろうと思ったんですよね。

菜穂子: 定年した後のことって、以前からよく考えてたんですか?

美樹: 「60歳いっぱいで会社は終わりだけど、それ以降も、自分が何らかの活動をしていきたい」とは思ってた。そうしたら「今のうちに、大学院で学んでおこう」っていう本能が働いた感じかな。

菜穂子: 私は出版社を38歳で辞めて独立しました。その時に「あと何年働くのか」「平均寿命87歳までの50年を、どうやって生きて行こうか」っていうことを、すごく考えましたね。独立していれば、何歳まででも仕事ができると思っています。

長く使っている肉体が
「老化している」ことを受け入れる

菜穂子: 池田美樹さんはね、悩みとか全然なさそうに見えますけど(笑)、意外と悩み体質なんですよ。

美樹: はい、意外と「くよくよ体質」です。

会場: (爆笑) 

菜穂子: でも「決めた!」っていうことの発表がうまいので、竹を割ったようにどんどん決めて進んでいる人だと思われがち。

美樹: そうなんですよね。

菜穂子: それで、今、悩みとかあります? 

美樹: 今、腰が痛いです(笑)。ぎっくり腰になりかかってる。

菜穂子: えー、きついじゃないですか。

美樹: ゆるやかに生活すれば大丈夫、な感じではあるけど。

菜穂子: 他にありますか?

美樹: 他は、老眼ですね。

菜穂子: ああ、去年、老眼鏡を作ったんですよね。

美樹: 「ついに老眼だな」って、諦めてメガネを作ったんだけど、Facebookにアップしたら、あまりにも「いいね!」がたくさんついたので、味を占めた(笑)。「なるほど、ファッションでかけている、という風に、自分で思えばいいんだ!」と。

菜穂子: 「老眼」っていう言葉もイヤですよね。「老眼」になってから先が40年もあるんだから、何か違う名前にしてほしい。

美樹: ほんと。「老」がイヤだ!

菜穂子: 老眼は、私も時間の問題なので覚悟しておきます。

美樹: 老眼鏡に関しては、リーディング・グラス、っていう呼び名がいいよね。

菜穂子: それはいい。

美樹: つい先ほど、この会場で、人生の先輩方に「美樹ちゃん、どーんなに若く見えても、綺麗でも、身体は正直よ」って言われた。

菜穂子: 怖い怖い!

会場: (爆笑)

 

美樹: でも確かにね。この肉体は、確かに50年も使って来ている肉体なので、自覚して行かなきゃなとは思っています。「老化している」ということを、まだそんなに受け入れられない感じですね。

菜穂子: なるほどね~。

美樹: それが悩みといえば悩み。まあでも徐々に、老眼と一緒で、受け入れなきゃいけないんだろうな、とは思っています。

菜穂子: 去年はお酒も断ちましたしね、美樹さん。

美樹: そうなんです。

菜穂子:  その前は「泥酔の美樹」ってね。一度飲むと、記憶喪失になるって結構有名だったんですけど(笑)。

美樹: 飲めばだいたい泥酔。飲めばたいてい忘れる。

菜穂子:  そうなんですよ、何にも覚えてないんですよ。お客さんがみんなうなずいてますけど……。

美樹: 私が主催でワイン会を開いて、人を呼んでいるのに、最後は私が寝ちゃうので、みんな勝手に帰って行っちゃうんです。気が付いたら自分の家のベッドで寝てるっていう状態。

会場男性: 連れて帰ってるんだよ!

美樹: そうだ。ごめん! 友達がうちに連れて帰ってくれるんです。

会場男性: 起きるまで待ってるんだからー。

菜穂子・会場:  (爆笑)

美樹: 友達が、私が起きるまで会場で待っててくれて。連れて帰ってくれる。

菜穂子: 若い時には、お酒を飲んでも大丈夫だったんですよね?

美樹: 眠くなんかならなかったなあ。

菜穂子: それも老化かなあ?

美樹: ああ~、そうかあ!

菜穂子:  受け入れないとね(笑)。

 

「自己コントロール感」の高さが
幸福度に比例する

菜穂子: トークもそろそろ後半なのですが。美樹さんにとって「ビューティフルな生き方」って何ですか。

美樹: 「自分が自分のために、何をしたいかを自分で決めることができる」ことが大切だと思うな。

菜穂子:  ふむふむ。

美樹: 例えば「どこに住むのかを自由に決められる」とか、「自分のやりたいことをやれる」っていうことが、幸せを感じる要素としてすごく大きいんです。これを「社会的流動性」とも言うんですけど。

菜穂子:  社会的流動性が高い=(イコール)幸せ、と言うことですね。

美樹: そう。私はその状態が、ビューティフルな生き方だと思いますね。

菜穂子:  なるほど!

美樹: もちろん、いろんな制約がある方も多いと思うんですよ。住んでいる地域の習慣とか、お子さんが小さいとか、仕事が忙しい、パートナーの協力が得られないとか。自由に決められない理由は、たくさん。

菜穂子:  家族の介護とかね。

美樹: 確かに親の介護は、私もそろそろ経験する気配だなあ。でも、それでいても、自分のやりたいことって、何かしらは見つけられるんですよ。

菜穂子:  そうですよね。小さいことでもいいから。

美樹: 自分のやりたいこと100%はできないとしても、せめて今ある中で、自分がコントロールしたり、工夫したりできることは何だろう?って。考えて、見つけて、やって行くことで、自分の幸せが生まれてくるんです。それをきちんと実行して行くのが、ビューティフルな生き方なのかなって最近思っています。

菜穂子:  自分が「今、何かを決めてるんだ」と、毎日の中で意識するのは、大事ですよね。メタ認知というかね。

美樹: そうですね。それを「自己コントロール感」と呼びます。

菜穂子:  「こうなっちゃった」じゃなくて、「他にも選択肢はあったけど、私がこれに決めた」っていうことですね。胸に1個ずつ、決断とか、覚悟を入れていく感触。そんなイメージ。

美樹: 「自己コントロール感」って、自分が水やりをするお花が1鉢あるだけでもいいんですよ。自分で育てている実感と、結果があれば。

菜穂子:  「この花には毎日、私が水をあげている」「だからお花が咲いた」と意識すればいいの?

美樹: そう。実際に老人ホームで、花への水やりの時間とか、育てることを任せて、認知の症状が改善したとか、寿命が延びたっていう研究結果が、ちゃんとあるんです。

菜穂子:  なるほどね~。

美樹: その論文によると、残酷なんですけど、逆に「自己コントロールを一切させない」っていう実験も同時にしたんです。何も自分では決められないっていう状況。そしたらもう、劇的に症状が悪くなっていくんですね。

菜穂子:  いやー、納得ですね。それは。

美樹: みんながもちろん、いろんな制約がある中で生きていて。でも「この部分だけは、自分がコントロールできている部分なんだ」って意識することが、凄くビューティフルな、幸せな生き方に繋がっていると思います。

菜穂子:  じゃあこの後、みなさんパーティのテーブルから「何を食べるか」「何を飲むか」をじっくり考えて(笑)、帰りはどの駅から帰るか、自分で決めてください。たったそれだけで、幸せな気持ちで帰れる。そういうことですよね?

美樹: そういうことです! 今日はみなさんが「池田美樹50周年感謝祭」に参加すると決めて、ここに来てくださったので。それだけでもみなさんは、幸せの一歩目を踏み出していらっしゃるということですね!

会場: (拍手)

 

 

専業主婦の奥様。ファッションやお化粧に
今一度、興味を向かせるには?

菜穂子:  ではここで、会場からの質問を受け付けたいと思います!

Q1: お誕生日おめでとうございます! 「Beautiful 40’s」結構読ませてもらっています。実は、うちの妻に「40’sファッション」の記事を読ませたことがあるんです。服を選んだり、化粧に興味を持ってもらいたくて。

美樹: ありがとうございます! 奥様に。すごーい! 嬉しい。

Q1: それで、雑誌を買って、好きな写真を切り抜くと良いとあったので、あれをやってもらおうと思って。懸賞でAmazonの8千円チケットを当てて、妻にプレゼントしたんです!

会場: (爆笑)

Q1: 家計のお金を使うと、怒るから。これでやってみてと言ったんだけど、結局そのAmazonチケットで、娘の本を買っちゃったの。

美樹・菜穂子: ああ~!

菜穂子: でも、質問者さん、優しいよね。

美樹: 意図とは違っちゃったけど、娘さんの本を買ったのは奥様の「自己コントロール」だから、さっきの流れだと「良い」話ではありますね。

Q1: うーん、それで質問は、変な話なんですが、そういう専業主婦の妻を、ファッションとか化粧に興味を向かせるためのやり方を教えてもらいたいんです。

菜穂子: 専業主婦の奥様。そうですね。毎日「キレイだよ」って言ってあげたらいいんじゃないでしょうか。

会場: おお〜!

菜穂子: 「お前、なんとかしろよ」とか言うのは一切やめて。いきなり今日から「かわいいね」「キレイだよ」って言ってみる(笑)。

美樹: それいいね! 「えっ!何よ」とか思いながらも、つい「もっときれいになりたい」と、思ってしまうよね。

菜穂子: つい、思ってしまうんですよ。

会場: 名前を呼んであげるー!

美樹: あっ! 会場から素敵な意見が。それもいいですね。名前を呼んであげるのはいい。

菜穂子: いいですね〜。「○○ちゃんのママ」じゃなくて、「本来の、その人」にフォーカスする。

美樹: その瞬間、「ママ」から、「自分」になりますからね。

菜穂子: 名前を呼んで「あれ、何か今日ちょっとキレイだね」って。うん、毎日言ってください。

美樹: デートに連れ出してあげるのもいいね!

菜穂子: いつものファミレスに、ダラっと行くのもいいけど。たまには。

美樹:  今日のパーティ会場は六本木のスペイン料理屋さんなのですが、リーズナブルで来やすい店ですよね。「いい店を見つけたから、ちょっとおしゃれして出かけようか!」って奥さんを誘って、「素敵な人」として扱って、デートする。自然とおしゃれして、メイクして、ってなると思いますよ!

Q1: 分かりました!

美樹: ぜひやってみてください!

菜穂子: ではでは。「池田美樹と、守山菜穂子のBeautiful 50’s(ビューティフル・フィフティーズ)」、スペシャルトークイベントをこれにて終了します。ありがとうございました!

会場: (拍手)

 

「池田美樹50th生誕祭」の様子。2017年2月撮影

 

※掲載の情報は2017年2月現在のものです。

写真/鈴木智哉(キリンニジイロ)

取材・文/守山菜穂子(Beautiful 40’s)

 

イベント会場はこちら!

スパニッシュバル「marisqueria SoL(マリスケリア ソル )」

◆住所:東京都港区六本木2丁目3-6 セントラルクリブ六本木2 1階
◆最寄駅:
東京メトロ日比谷線・大江戸線「六本木駅」6番口より徒歩8分
東京メトロ南北線「六本木一丁目駅」1番・3番口より徒歩4分
東京メトロ「溜池山王駅」9番口より徒歩8分
◆TEL:03-6277-7364
◆定休日:日曜・祝日・年末年始
◆ホームページ:
http://www.marisqueria-sol-roppongi.com/


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