2020年08月30日

人生で一度、住みたい場所|2020年8月の座談会

東京で、強く、美しく、賢く働く40代以降の人のためのメディア「Beautiful 40’s(ビューティフルフォーティーズ)」。8月の座談会テーマは「人生で一度、住みたい場所」。憧れのあの街に住みたい? それとも、どこか違う街に連れて行かれたい!? しばらく使われていないパスポートを尻目に、自由に語り合いました。

中央・編集長 池田美樹 twitter
左・プロデューサー 守山菜穂子 twitter
右・プロデューサー 福光みなみ

 

どこにも旅行できないこの夏。
人生で一度、住んでみたい街を妄想する

美樹: 今日の座談会テーマは「人生、一度でいいから住んでみたい場所」です。

菜穂子: この夏は旅行もできないので、「住む」というテーマで語るならいいだろうと(笑)。さあみんな、妄想炸裂するのよ!

みなみ: 住んでみたい場所かあ。2ヶ月とか、半年ぐらいなら住んでみたいところ色々あるな。まずそのあたりから考えてみようかな。

菜穂子: 私、このテーマをちゃんと考えてみたことが、今までの人生で一度もなかった。私は千葉県生まれなんだけど、東京の西の外れの大学に入ったので、学生時代に東京都内に下宿。そのまま都内で就職、ずっと都内に住んでいるという感じ。それ以外の場所に住むこと、検討したことがなかったんです。今日ちょっと慣れないテーマで、ワクワクしてます。

美樹: 私も25歳で東京に出てきてからは他の場所に住んだことがないから、いろいろ考えてみたいな。

 

美樹は、人生に一度
海の近くに住んでみたい

美樹: 先日、NHKの「ブラタモリ」で葉山の特集をしているのを見て、「あ、そういえば海の見える場所に住んでみたいんだよなー」と思い出したのよね。

菜穂子: 「思い出した」っていうのは、昔から思ってたってこと?

美樹: そうそう、憧れがあって。

菜穂子: 熊本の実家は、海の近くじゃないんだ。

美樹: 全然。海まで行ったとしても干潟だし。

菜穂子: 干潟ね! 渋い。

美樹: テレビに影響されて、さっそくネットで物件を検索したら、今、広告が葉山の物件だらけに(笑)

みなみ: 不動産検索あるある(笑)。葉山、鎌倉とか、やっぱり人気ですよね。都心に通いながら住んでる人、けっこういる。

菜穂子: 私の周りにも何人かいますねえ。憧れの地名よね。

みなみ: 海の近く、たのしそう。毎日、海岸を散歩しちゃう? 犬飼っちゃおう。あ、美樹さんちは猫ちゃんだった。

美樹: 猫に首輪を着けて、散歩しちゃう(笑)

みなみ: 葉山、2ヶ月なら住んでみたい気もするな〜。

菜穂子: リモートワーク中心の世の中になったじゃない。月に数回、都心の会社に行く分には、このぐらいの距離なんてことないよね。

美樹: ほとんどリモートワークになったからって、実際に家族で葉山に引っ越した友人がいるの。毎日、海辺の写真がアップされてきて、うらやましい。

みなみ: おお、やっぱりそういう人いるんだ。そうやって、自由に住み替えしてる人は、結構いるのかな?

美樹: 今後、増えていきそうなライフスタイルだよね。

菜穂子: いや〜、確実に増えると思いますね。高い家賃を払って、都心に住んでる意味が、完全に崩壊してるもの。

みなみ: うちの会社もほとんどリモートワークになったし、そういう人が増えそう。

パリのセーヌ川河畔。

短期滞在していた、パリのアパルトマンから見た風景。

 

菜穂子: そういえば、美樹さんは大学でフランス文学を専攻してたじゃない。若い頃はさぞかし、パリに憧れがあったんでしょ。住みたいと思ったことはないの。

美樹: もちろんあるよ。学生の頃は「パリに1年間住む方法」みたいな本をたくさん買って、イメトレしてた! 実際、パリに2週間ぐらいの短期滞在をしたことが2回あります。

菜穂子: 「旅行」よりはちょい長くて、「住む」の手前ですね。

みなみ: 私も、パリ留学の同級生のアパルトマンに、2週間ぐらい泊めてもらったことがある。ごはんが美味しくて、街は素敵で、みんなおしゃれにみえた(笑)!

美樹: 友人宅に居候(いそうろう)させてもらうと、より「住んでる」感が味わえるよね。AirBnB(エアビーアンドビー)や、民泊の流行って、そこから来たんだろうね。

菜穂子: 「住むように旅したい」っていう表現があるけど、まさにそれだ。

美樹: あと私、30代の始め頃に、ニューヨークに3週間くらい短期留学したこともあります。会社の夏休みをめいっぱい使って。アッパーイーストの寮に入ってた。

みなみ: おお、楽しそう! 寮は、だれかと一緒のお部屋だったんですか?

美樹: うん、長期間留学してる日本人の若い女子と一緒だった。彼女は徹底してて英語しか使わなかったな。

菜穂子: 美樹さんは旅行もたくさんしてるけど、短期滞在も何度か経験あるんですね。

みなみ: 50代の今からでも、人生で海外に住みたいとは思う?

美樹: 思う思う。憧れはパリかニューヨーク。これは若い頃から変わらないね。でも猫を飼ってしまったから現実的にはないかなあ(笑)。

菜穂子: 伴侶を得て、仕方なく落ち着いてしまったフーテンの寅さんみたいな感じだ(笑)。

 

みなみは、いつか住むなら
ハワイの海のちかく

みなみ: 私は、海外に住むならハワイかな〜。海の近く。もともとハワイが好きで、旅行では数え切れないぐらい行ってるんだけど。

菜穂子: ハワイ、20代のときよく一緒に行ったね。

みなみ: 一緒に、何回行ったかな? 4、5回?

菜穂子: 年2回ペースで行ってたときあったもんね。いいじゃん、ハワイにコンドミニアムを買って移住してくださいよ。それでお客様用ベッドルーム1室作っておいて。

みなみ: 来る気まんまんだな(笑)?

菜穂子: 私もハワイは大好きだけど、自分で住みたいという気持ちまではないの。たまに行く、特別な遠い場所だから潤う、という感じ。でも、みなみちゃんが住むなら年2、3回行く(笑)。

美樹: ハワイは、私は雑誌の編集をしているときに、特集を担当して10日間行ったことがある。その時「ハレクラニ」「ロイヤルハワイアン」「カハラリゾート」といった有名リゾートホテルに泊まってしまったから、割と満足しちゃったかも。

みなみ: 素敵なホテルめぐりも最高だけど、なんというか、美樹さんが葉山に住みたい感じと同じですよ。「暮らす」という感じ。毎日のんびり、海を見たり、本読んだり、犬を飼ったり。

菜穂子: 普段の忙しさと正反対では。引退後の生活かな。

 

ハワイ・オアフといえばやっぱりワイキキ・ビーチ。

ワイキキ・ビーチで寝ころんで空を見上げてみる。

 

美樹: 私はハワイに住むなら、あえてオアフ島の「マノア」あたりがいいな!

みなみ: マノア、いいですね、あと、やはり、あこがれの「カハラ」地域では。

菜穂子: みなみさんは、仕事でニューヨークに住んでたことがあるじゃん? 

みなみ: シティ(市街)じゃなくて、ニューヨーク市の郊外だけどね。30代前半のとき、7ヶ月間の転勤でした。

菜穂子: その間、私はみなみさんの家に遊びに行ったんだよね。うらやましかったわー。

みなみ: あのとき楽しかったね! 菜穂子ちゃんきてくれて、すごく楽しかった思い出。

菜穂子: 海外に住むことになった友達を訪ねていくの、好きなんだ。その友達が、ちょうど現地に詳しくなった頃に行くの(笑)。私は海外に住んだことないけど、海外に住んでるエッセンスだけ、おこぼれに預かりたいのかもしれない。これも「住むように旅したい」だね。

美樹: みなみさんは、一度、海外に住んでみてどうだった?

みなみ: あのね、結構大変だった(笑)

美樹: 何が大変だったの? 

みなみ: まず当時、1歳の子連れだったのでそれが大変だった……。

菜穂子: あのとき、みなみさん30代前半だったよね。日本で仕事している夫はそのまま、初めての子ども、生まれたての1歳児を連れて、自分が単身赴任したんだよね。

みなみ: 海外で働きたくて、転勤あることがわかってる外資系企業に転職したの。だから妊娠がわかって、子どもが生まれても、どうしても行きたかった。

菜穂子: あの判断はすごかったよね。チャンスを掴む力すごいなと思った。夫を置いて、子どもの生活もあるからお母さんを同伴してね。当時は大胆な決断にびっくりしたよ。でも今、思えばすごくいい判断だったと思う!

美樹: そうなんだ…! 初めてづくしで、大変だったんじゃない。

みなみ: 海外で、初めて住んだ場所でいいスーパーを探す、保育園と職場の往復、みたいな、生活を新たにつくりあげることが大変でしたね。小さい子どものいる生活の難しさにも全く慣れていなかったし。あと、家電が壊れて修理が大変とか、外国での慣れないトラブルが一緒に来た。

菜穂子: しかも、仕事でも成果を出したいもんねえ。行ったからには。

美樹: うわあそれは……。楽しかったこともあるでしょ?

みなみ: もちろん! 思い立ってニューヨーク市街に出かけてミュージカルを観たり、クリスマス前のウキウキした街を散歩したり。あと、子ども向けのミュージアムとかも楽しいのよね。子連れで行ったからこそできた体験も、いろいろあったよ。

美樹: やっぱりそういう経験はうらやましいなあ。

菜穂子: 普通の引越しでもドキドキするのに、海外に住むってやっぱり、超刺激体験だよね!

 

ニューヨーク・マンハッタンのミートパッキングディストリクトにある「ホイットニー美術館」より。

ブルックリンから見たマンハッタン。

 

菜穂子は「東京ではないどこか」に
連れて行かれたい

菜穂子: お二人とも熊本、岐阜と「地元」があるから、いざとなると帰ることができて、いいなあと思うんです。私は千葉県出身なんだけど、千葉の家はもうなくて、親も都内にいるので、「帰るところ」「故郷」みたいなのがない。だから「東京と全く違うところに住んでみたいなあ」っていう憧れは、根強くありますね。

みなみ: 地元……特に何もないけどね……。岐阜はいいとこだけど、何もない。私は東京が大好きすぎて、地元に住むのは無理。もう東京のほうが長いしなあ。

美樹: 私は20代で熊本を振り切るように出てきたんだけど、最近だんだん故郷が良いところに見えてきたの。二拠点生活するのもいいなーと考えてるよ。

菜穂子: 地元と東京の二拠点生活、最高じゃない? めっちゃうらやましい。人生に一度、東京と田舎の二拠点生活、してみたい。

美樹: 熊本に残っている友人達ががんばって、街がすごくおもしろそうになってきてるのにも刺激を受けてるってのも大きいな。

みなみ: 地方で頑張ってる若手の人たち、応援しちゃいますよね。私は岐阜から出て来ちゃったけど、地元を盛り上げてくれてありがとう……!って思う。ふるさと納税しちゃう。

菜穂子: いいなあ。だからといって、「Iターン」のような、縁もゆかりもないところに住みますっていう勇気もなくて。どこに住みたいかと聞かれても、よくわからない。「ここではない、どこかに住みたいなあ」っていう、漠然とした気持ちはずっとあるんだけどね。

みなみ: 住みたいところ、ぜんぜんないの? ほんとに?

菜穂子: 逆に言うと「どこでもいい」のかもしれない。転勤で、初めての場所に引っ越すことになった、みたいな話も楽しそうだなあ。誰かに決めて欲しい。

みなみ: ええ! 何でも自分で決めるマンのくせに(笑)!

菜穂子: たまに運命に身を任せたくなるのよ。「夫の転勤で◯◯に住むことになりました」みたいなのもちょっと憧れる(笑)。

美樹: ああ、それはわかる、私も憧れる……。

菜穂子: ですよね(笑)。今からの人生でも起こって欲しいできごと。

みなみ: 具体的にどこに連れて行かれたい? あと、どこは付いて行かない?

菜穂子: いや、ほんと、どこでもいいですけどね。ここではないどこかであれば。アフリカでも、ロシアでも、山形でも、長崎でも。パートナーが「ここに住むよー」って言ったら「はーい」ってついて行くと思う。最初の話に戻るけど、どこでも仕事はできるし。友達作るのも苦手じゃないし。ネットと電話さえ繋がっていれば、誰とでも連絡取れるし。翻訳はGoogle先生がなんとかしてくれるし。

美樹: 確かに、昔よりは移住の敷居が低くなったよね。

菜穂子: 技術すごいですよね。最近、地方の盛り上げ施策で、官公庁が主催する「移住者募集」みたいなのよくあるじゃない。そういう告知を、ぼんやり見てる。「いいなあ」って。いつか急に思い立って、移住しちゃうかもしれないぞ!

 

生活の中で見つける楽しみを
大切に、旅するように暮らす

美樹: みんなの移住感覚が聞けて、面白かったね。ところで「住む」のと「旅行する」のは、どう違うんだろう?

みなみ: 「旅行する」はなんというか「ハレ」の時間なんですよね。旅先だからこそ、普段行かないようなレストランに行ったり、観光スポットに行ったり。

菜穂子: うんうん。新しい、刺激的な場所に行こうとするよね。もしくは伝統的、歴史的な場所とか。

美樹: 40か国ほど旅してきた私はついに「行く」ことそのものを旅の楽しみにしようと世界一周クルーズもしてみたし。確かに、刺激を求めるところはあるね。

みなみ: でも「住む」はどちらかというと「ケ」。だから「住む」ときは、出かける先も近所の公園、スーパー、カフェとか。

菜穂子: 確かに、「住む」は、ゴミ出しとか電気料金の支払いが発生するしね(笑)。

みなみ: そうそう(笑)。でも生活の中でこそ見つける楽しみもあるわけで。同じお店に通ってちょっと常連っぽくなったり。そういう楽しみはやはり「住む」にあると思う!

菜穂子: 静かな楽しみっていう感じだね! 確かに、旅行して素敵な場所と、住みやすい場所は違うよね。

美樹: 住めば都という言葉もあるし。

みなみ: 思ったんだけど、旅行に行けない今年の夏は、「毎日が新しい日常」で彩られてますよね。毎日、丁寧に暮らすのって、普段できてないだけに結構な非日常。

菜穂子: 今、住んでいる場所を、旅する視点で改めて楽しんでみる? それはいいかも!

美樹: 「旅するように暮らしてみる」かあ。新しいなあ。

みなみ: 日常と非日常の間を、また、自分の意志で行ったり来たりできる日が来るよね。そんな日を気長に待ちながら、東京の暮らし、おうちぐらしを楽しみますか。

 

写真/池田美樹


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