2020年04月30日

熊谷美雪のマチュアな女性(ひと)と、コーヒーを vol.4

マチュア【mature】
[形動]1成熟したさま。円熟したさま。大人の。「マチュアな魅力をもつ女優」
    2(果物などが)熟したさま。(ぶどう酒やチーズなどが)熟したさま。
     -デジタル大辞典より

 

マチュアな女性(ひと)と、
コーヒーを vol.4

年齢や環境にとらわれることなく、自分らしい生き方、働き方を楽しんでいる大人の女性から、今、迷いの中にいる妹世代に送るメッセージ。

25年勤務した会社を47歳で退職し独立し、人生の質を高める働き方を提唱する筆者、ビジネスステージアップコンサルタント 熊谷美雪がお話を伺います。

連載第4回目は、「夢をかなえるお片づけ®️教室」代表の伊藤夏美さん。現在は「お片付けナビゲーター」として活躍されている夏美さん、出産前は広告関連の企業などでハードに働いていましたが、出産を機に今の働き方に。ゆったりとした、たおやかな話し方が印象的な女性です。「オンラインのお片づけサポート」が人気とのことで、興味深いお話が聞けそうです。

 

美雪:夏美さんとは、4年前にメルマガ執筆のアドバイスをさせていただいたのが出会いでしたね。お片づけナビゲーターをメインに、ドリームマップファシリテーター、親子コーチングのコーチなど、さまざまな事業をされていますね。

夏美:はい。今は、子育てが中心で思うようには動けていませんが(笑)

美雪:一見、いろんな仕事をされているようですが、3つの仕事は何か関連があるのですか?

夏美:全て、私自身が子育てをしていく中で、悩んだり困ったりして、なんとかしてきたことなんです。こんなに困るのだから、この経験をシェアすれば、きっとお役に立てる人がいるはずと思って始めました。

美雪:なるほど。

夏美:まず、私自身、片付けが苦手でした。特に子供どもを連れて出かけるとき「あー、あれどこだっけ?」とあれこれ探すのは本当にストレスで。自分が片付けられるようになったら、ストレスがなくなり、イヤイヤ期の子育てもラクになったんです。

 


●オンラインでお片づけサポート!

美雪:オンラインでお片づけのサポートをしていると伺いました。どんな方法を取っているのですか?

夏美:ウェブ会議ツールの「Zoom(ズーム)」を使っています。2週間に1回、1時間のセッションです。内容は、クライアント様がどう空間を使いたいのか、どういう収納にした方が使いやすいのかを話しながら、私が一方的にご提案するのではなく「ご自身でゴールを決めていただく」方法をとっています。
  
美雪:Zoomを使った片付けサポートは、コロナ感染症対策で出かけられない時期に、すごくいいですね。

夏美:そうですね。あと特徴としては、その方に合わせたお片づけの方法をアドバイスするだけではなく、コーチング的なコミュニケーションを取っています。部屋がキレイになるだけではなく、心の変化も起きて来るんです。

美雪:なるほど。

夏美:2週間の間は、片付け作業中の写真をLINEやFacebookメッセンジャーで送ってもらい、アドバイスをしたり、収納グッズのご提案をしたり。2回目以降のセッションでは、その2週間の振り返りとアドバイス。そして次のセッションまでのゴールを決めます。

美雪:それは進歩が見込めそう。

夏美:苦手だった片付けを自分からやるようになって「こうやってみました!」とご報告があったり、ビフォー・アフターの写真を送ってきたり。そんなときは、「できてるじゃない!」と褒めることもよくあります。家を片付けても、褒めてもらえることは普段はないですから、励みになってくれるようです。

美雪:言葉に出して褒めてもらえる機会って、意外と少ないかも。

夏美:褒められないどころか、家族が協力してくれないという悩みも多いです。そんなときは、コーチングのコミュニケーション手法も伝えているんです。「こんなふうに言ってみてはどうですか?」とか。

美雪:それは、どんなふうに?

夏美:家族に一方的に「ここはダメ」「こうしなさい」と言うのではなく、できているところを認めて言葉にしてから「更にこうしてもらえると、もっと助かる」という伝え方です。まず、相手を認める伝え方をご提案しています。
そうすると、「家族が反発しないでやってくれました!」と反響があります。
ご本人の内面の変化が話し方や雰囲気も現れるので、それによって、家族関係が良くなることも多いです。こうした変化が目に見えてわかるので、面白さを感じますね。

美雪:オンラインセッションですから、場所を選びませんしね。

夏美:そうですね。先日も青森県の方からご相談を受けました。地方だと、まだ、お片づけサービスがなかったりするようです。自宅に来てもらうのはちょっと、という方にも喜ばれています。

 

●10年後の自分が描けなくて

美雪:「ドリームマップ」や「親子コーチング」を始めたきっかけは?

夏美:片付けを学んで「ライフオーガナイザー」の資格を取るとき、「10年後の自分を描きましょう」という課題が出たんです。どんな暮らし、人生を送りたいですか?と。その時、何も浮かばなかったんですよね。日々のことに追われていて。この時「あー、私、自分のことを置き去りにしていた」と気がつきました。
周りのママたちも同じだったので、それなら、片づけの相談にくるお客様もきっとそうだろうと。そこで、未来を楽しく描けるようなツールはないかなと探し、ドリームマップを知り、「ドリームマップファシリテーター」の資格も取りました。

美雪:改めて、ドリームマップとは、なんでしょうか?

夏美: 直訳すると「夢への地図」ですが、なりたい自分、大切な物や人、自分が満たされる過ごし方など、あなたの想いを、「雑誌の切り抜き」を台紙に貼って表す、自己実現のためのツールです。

美雪:子育て期のママで、自分の10年後を描けている人はなかなかいないですよね。

夏美:そうですね。ドリームマップを作ると、皆さん、自分のことを後回しにしていたことに気づいて、スッキリした顔で帰っていきます。お風呂上がりのようなつるんとしてちょっと高揚感のある感じ。
ママたちだけではなく、「そういえば自分の夢ってなんだろう?」とか、「やりたいことあるけど、頭の中整理したい」という方もいます。自分の事業をされている方は、毎年決まった時期に来られたりしますね。
経営者の方で、会社のことばかりでプライベートが全くないので、あえてプライベートの夢を描きにきました、という方もいらっしゃいます。

 

「ドリームマップ1day講座」にて、完成したドリームマップとともに。参加者の顔には充実感がにじみ出ている

 

夏美:「親子コーチング」は、子育てをしてく上で、子どもとのコミュニケーションに考えさせられることがあり、学びました。

美雪:「親子コーチング」というのは、初めて伺いました。

夏美:「小学生でもコーチングを身につけられる」をコンセプトに立ち上がった協会です。カードを使うことで、親子で、お友達どうしで、簡単にコーチングができるようになります。

 

親子コーチングで使う「PIT IN CARD(ピットインカード)」は、子どもにもわかりやすい、楽しい絵柄が描かれている

 

●頼まれると断れず……
ハードに働いていた会社員時代

美雪:出産前は、かなりハードに働いてらっしゃったんですよね?

夏美:大学卒業後、外資系の保険会社の法人営業、外資のアパレルの営業を経験しました。本社との時差もあって、深夜からの打ち合わせなどハードな毎日。無理がたたって体調を崩してしまい、辞めました。その後、広告会社の電通に契約社員として入り、CMプロデューサーになったんです。

美雪:それもかなり大変そう。

夏美:頼まれると断れないタイプだったので、寝ないで仕事したこともあります。面倒なことも引き受けちゃうんです。最終的にどうにかまとめてしまうので、ちょっと損な役回りを引き受けていたかなと。

美雪:夏美さんなら、優しく受け止めてくれそうですもんね。楽しかったことは?

夏美:制作の裏側を見るのも好きでした。なかなか会えない映画監督さんやタレントさんとも会えて。一流と言われている方々の現場はすごかったですね。監督さんや俳優さんもですが、カメラマンさんや照明の方も。物作りに対する思い入れやこだわり、情熱がすごいんです。

美雪:仕事を続けようとは思わなかった?

夏美:結婚後は、家族との生活を優先したかったのですが、夫の勤務時間とすれ違いが起きてしまって。自分としても、電通でのCM制作はもう十分やり切ったと思えたので、辞めて39歳で出産しました。
電通をやめた直後は、アシスタント的な9―17時の仕事を探してみたこともありましたが、そこまでのキャリアがあると扱いづらいとのことで、採用には至りませんでした。

美雪:私の知り合いでも、転職してペースダウンして働こうとアシスタント的な業務で面接を受けたら、周りが「扱いづらくなるから」と判断し、採用されなかった方がいました。

夏美:ありますよね。ただ、私にとって今の仕事を選んだ理由は、そうした働き方の環境だけが理由ではないんです。大企業で働いていた時は「お客様の反応」がわからなかったんですよね。なので「今度働くなら、直接、お客様の反応が見えるお仕事をしてみたい」と思っていました。そこで、お客様に直接「ありがとう」と言ってもらえて、自分で働く時間が調整できる、今の仕事に辿り着きました。

美雪:環境の変化に合わせて働き方を変えてこられたのですね!

 

子育てのお悩みコーチングセッションの様子

 

●「誰かの役に立ちたい」と思いながら
私は死んでいくと思う 

美雪:お仕事や子育て以外の時間は、どんなふうに過ごしてるんですか?

夏美:映画鑑賞や美術館に行ったり、美しいものを見るのが好きです。神社など、心がスッと整うところに行くのも。一人で行きますね。普段は、思考が常に忙しく働いているので、意識して止める時間を作っています。

美雪:行ってみたいところはありますか?

夏美:モロッコに帰りたい(笑)。実は父の仕事の関係で、10〜15歳頃はモロッコで過ごしていたんです。あの場所は、時間がゆっくり流れているんですよね。今は違うかもしれないけど、それでも時間の流れは日本に比べればゆっくりだろうし。食べ物が美味しいし、人が「人懐っこい感じ」ですね。

美雪:夏美さんらしい。

夏美:子どもを連れて行きたいんですけど、なかなか行きたがらない(笑)。違う世界を見せたいんですよね。自分がどれだけ恵まれているかを感じてもらって、どーんとカルチャーショックを与えたい。私の友達にも会わせたいし。

美雪:素敵ですね。他に、やりたいことはありますか?
 
夏美:人生も折り返しにきたので、残りは世の中に還元にしたいという思いもありますね。

美雪:私も、それは思っています。

夏美:おばあちゃんになったら、自治会とかやるかもしれないけど(笑)、最終的には「誰かの役に立ちたい」と思いながら死んでいくんじゃないかなと思います、私は。

美雪:役に立ちたい、という気持ちが強い?

夏美:そうですね。私はモロッコのアメリカンスクールに通っていて、ガールスカウトに入隊していたんです。アメリカンスクールでは、自然にボランティアをします。
またモロッコに住んでいたときは、街に物乞いする人もいて。私の家のゴミ箱を、小学生くらいの子どもが漁っていたりしました。イスラム教徒は、そんな弱い人たちに対して施しの習慣があるので、それを見て、自分ができることはなんだろうと小学生のときから考えていましたね。

美雪:日本にいると、恵まれていることに鈍感になりがちですね。

夏美:そうですね。恵まれた環境で生まれたなら、どこかで還元していきたいという気持ちは子どもの頃から芽生えていました。

夏休みのイベントで、小学生が作成した「ドリームマップ®」

 

●個性を活かせる教育を

美雪:夏美さんは、小学校で英語の授業のサポートをされていたこともありましたね。

夏美:はい、実は私、野望があって……。すごい大きなことですけど、将来は日本の教育を変えたいと思っているんです。

美雪:すごい! どんなことですか?

夏美:管理教育ではなく、それぞれの個性を活かせるように。というのも、義務教育はまだまだ一方的な授業で、レールから外れたら行き場がないことが多いんです。いろんな子がいて、いろんな学び方があって、どんな子にも居場所があるようにしたいです。
例えば学習障害があって、学校の勉強についていけない子でも、タブレット端末があれば、苦手な事をサポートしてくれるアプリを使うことができます。
読むのが苦手な子には教科書やプリントを読み上げてくれたり。ノートなどに書くのが苦手でもタブレットでの入力ならできる子もいるそうです。手段はあるのに、そういう子たちがとりこぼされているんです。
不登校にしても「つらいなら無理して行かなくてもいいよ」と言うけど、受け皿も用意せずに言うのは無責任だと思うんですよね。

美雪:教育を受ける権利は、誰にも等しくありますからね。

夏美:取りこぼさないようにしている校長先生もいますけど、教育の場全体がそうなって欲しい。だから、教育の現場でコーチングや対話、コミュニケーションで自分の考えを言う、違いを認めること普及していきたいですね。

 

●後に続く世代の女性たちへ

美雪:これを読んでいる、後に続く世代の女性たちへメッセージをお願いします。

夏美:自分が好きで楽しくて、やっていてやりがいが感じられることを続けていってもらえたらなと。それが子ども達にも伝わるから。
そうやって生きているお母さん、大人を見ていれば、子どもは「将来は楽しそう、早く大人になって私もあういうことしたいな」とか思ってくれると思うから。

美雪:やりたいことが見つからないという女性も多いですが。
   
夏美:それは「稼がなきゃ」と思うからじゃないかな。やりたいことを見つけるときは、まず稼ぐこととは切り離して考えてみても、いいのではないかなと思います。収入は別の方法で確保するとか。
楽しんで、極めていくうちに、「これをやっているのが幸せ」と思えるようになってきたら、そこに共感する人が現れて、何かしらの形になっていきますから。
形というのは、たとえば、事業でも、ボランティア団体でも、NPOでも良いと思うのです。ご本人がハッピーであれば。
まず、なんでもいいから真剣にやってみるといいと思います。ダメだったらやめて、また違うことをやってもいいのだから。

美雪:そうですよね。違うなと思ったらやめればいい!まずは楽しんで極めたいと思え
ることに集中してみるといいですね。
夏美さん、今日はありがとうございました。

 

伊藤夏美さん Natsumi Itoh

「夢をかなえる®️お片づけ教室」代表

1971年生まれ、上智大学 外国語学部 フランス語学科卒業。
損害保険会社、アパレルメーカーを経て、大手広告代理店で10年プロデューサーとして勤めたのち、専業主婦に。2014年「ライフオーガナイザー®️」1級資格、「認定ドリームマップ®️」講師資格を取得し、独立。部屋をキレイに整えるだけではなく、暮らしを整え、思考を整理することを教える「夢をかなえる®️お片づけ教室」代表として活躍。
夢をかなえ、なりたい自分になるための片付けを伝えている。
自分のことを後回しにしがちなママたちから「自分の未来の可能性に気づけた」と喜んでもらえることが嬉しい。日本の教育について「もっと個を大切にし、伸ばせるように」と強い思いを寄せている。
現在は神奈川県横浜市に、夫と子どもの3人で暮らす。

取得資格:
ライフオーガナイザー1級®️
認定ドリームマップ・ファシリテーター
日本親子コーチング協会 認定コーチ 認定ピットインカードマスターインストラクター
ひふみコーチ株式会社 認定プロフェッショナルコーチ
ELM勇気づけリーダ

 

伊藤夏美「夢をかなえる®️お片づけ教室」公式サイト
https://dreamorganizer.jp

SNS「夢をかなえる®️お片づけ教室」Facebookページ
https://www.facebook.com/dreamorganizer.nat/

 

インタビュアー
熊谷 美雪 Miyuki Kumagai
ビジネスステージアップコンサルタント

「サービスや人の価値を響く言葉で表現すること」「アイディアを商品化すること」「仕事の仕組み化」を得意とする。
独立前は外資系企業に25年勤務。プロジェクトコーディネーター・管理職として多忙な日々を過ごすも、40代に入りあまりの多忙さに身も心も疲弊。「このまま年を重ね、後悔したくない」との思いにかられ、47歳で独立。
全ての女性に、一度きりの人生を濃く感動して過ごして欲しいと、人生の質を上げる働き方を実現してもらうべく、日々コンサルティングに励む。
推理小説とカフェ、宮古島でボーっとするのが好き。
株式会社ネクストステージラボ代表取締役
NPO法人 しごとのみらい 理事

公式サイト:
週4ワークで人生の質を高める働きかた
https://writingkumagai.com

Instagram:@Miyuki_Kumagai_
twitter:@tropicalislands2
Facebook:https://www.facebook.com/miyuki.kumagai1


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