カクテルに込められた夢と希望と喜びと
文/池田美樹
世界に飛び立つカクテルコンペティション
このところ、カクテルが気になっています。バーテンダーがそのスキルをもって目の前で作ってくれる人間くささに惹かれる年齢になったからでしょうか。
そんなバーテンダーの腕を競うカクテルコンペティションがあります。なかでも世界で権威あるコンペティションのひとつとして数えられる「バカルディ レガシーカクテルコンペティション 2018」の、日本大会ファイナルを観戦してきました。
ファイナル進出者は5名。東京、静岡、大阪から精鋭たちが揃います。
今回のテーマは、世界中で永きにわたって飲まれるレガシーカクテルとなるようなカクテルをつくること。バーテンダーたちは、審査員と観客の目の前で、バカルディを使ったオリジナルカクテルを作ります。
時間は7分間。観戦していて驚きました。作りながら、バーテンダーたちが笑顔でトークパフォーマンスをするのです。ある方は感謝の気持ちを込めて創作したことを述べながら。またある方は、そのカクテルで感じてほしいことを述べながら。
それもそのはず。作りながら、創作にまつわるインスピレーションをプレゼンテーションするのも、パフォーマンスのひとつとして審査されるのだそうです。カクテルコンペティションって、ただ黙々と作ったものの味を競うだけではなく、パフォーマンスも必要なのだと初めて知りました!
また、これも知らなかったのですが、ファイナル進出者は、セミファイナル進出後の、自身のカクテルのプロモーションに対しても審査されます。露出、認知、トライアル数や独創性など…バーテンダーさんは、優秀なプロモーターでもあらねばならないのですね。
この日、優勝したのはザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町、スカイガーデンLevita所属の阿部央さん。カクテル名はTALES OF 8。スペインをイメージし、末広がりの8という数字を冠したカクテルの味を確かめることはできなかったのですが、さすがのパフォーマンスで観客を圧倒していました。
カクテルに込められた夢と希望と喜びと
写真/GN Chan氏。供されたのは、2016年、氏が世界大会で優勝した際のカクテル。
パフォーマンスの後はパーティータイム。世界ファイナルの舞台であるメキシコをイメージした軽食と、カクテルが供されます。
ここで私がお会いしたかったのが、2016年の世界大会優勝者でもあり、今回の審査員でもあるGN Chan氏。もともと、台湾から夢をもってNYに渡った矢先に全財産を盗まれ、住むところを求めてドアを叩いたのが、バカルディ カクテルコンペティションの世界大会で過去に優勝者がいたバーだったそうです。
そのバーの屋根裏で暮らしながら技術を磨き、2016年にバカルディの大会で世界優勝をしたというストーリーは、まさにドリーム。
現在、彼は、現在自らのバーをオープンするための準備をしつつ、その一環として、カクテルバンでカクテルを提供しながらアメリカを横断する活動をしています。
カクテルにまつわる努力とパフォーマンスと人に与える夢と希望と喜びと…カクテルのことがもっともっと、好きになってしまいました。
それにしても、次回はGN Chan氏のカクテルバンでカクテルを飲みたいなあ。
写真/小松勇二(GN Chan氏)、池田美樹
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