2021年04月22日

独立起業する? それとも一生、会社員でいる?|2021年4月の座談会

東京で、強く、美しく、賢く働く40代以降の人のためのメディア「Beautiful 40’s(ビューティフルフォーティーズ)」。4月の対談テーマは「独立起業する? それとも一生、会社員でいる?」。コロナ禍を機に、会社に頼らない生き方を考え始めた人が増えたようです。この座談会では、40代から独立起業するための秘訣を語り合いました。

左・編集長 池田美樹 twitter
右・プロデューサー 守山菜穂子 twitter

 

美樹: 最近「会社を辞めたいんだけど……」という40代からの相談が増えてきたんだよね。

菜穂子: あら、このタイミングで。

美樹: たぶんコロナ禍で、じっくり自分の将来を考えた人が多かったからかな。

菜穂子: なるほど。大樹が頼れるばかりではない、と気づいてしまった人もいるんだね。リモートワーク推進とか、働き方が変わってしまったのも大きそう。

美樹: 「早いうちに会社を辞めることを想定して、準備を始めなきゃ」と思い至ったのでしょうね。

菜穂子: 私たちは2人とも、会社員をやめて独立起業した人なので、「会社をやめること」については情報提供できそうですね。

 

会社を辞めて独立起業するには
何歳ごろが適しているの?

菜穂子: 「会社をやめるのに適した年齢」ってあると思いますか。

美樹: 独立起業を考えているなら、準備は早くから始めるに越したことはないよね。

菜穂子: まさに。賛成です。

美樹: 「適した年齢」は、その後、何をやるかにもよると思うけれど。

菜穂子: 私は37歳で「会社をやめよう」と思い、準備を始めて。会社員の傍ら、1年間はマーケティング・ブランディングの勉強をしたり、セミナー開催ができる講師の資格を取ったりしていました。独立後の人脈をゆるやかに作ったりもしてたかな。それで翌年、38歳の年に独立起業しました。

美樹: 早かったよね。それは理想的かも!

菜穂子: 思い立ってからは早かったですね。「40歳までに独立しよう」って思ったんです。

美樹: それはなぜ?

菜穂子: もともと自分の中に「60歳・定年までのカウントダウン」みたいな感覚があって……。「あと20年この仕事するのか?」と考えた時に、もう1つ、全く別のことをしてみたいなと思いました。

美樹: そうかあ、早い時期からそう考える人もいれば、私みたいに40歳とか、50歳と、キリのいい歳になったのを機に「ん? 私ってこのままでいいのかな?」と思い始める人もいるよね。

菜穂子: そういう意味では、私は「40歳」が、自分の「あり方」を考える節目になりました。

美樹: 具体的にはどんな風に、独立・起業の準備を始めたの?

菜穂子: 全く別のことをしたかったので、最初は「①転職」「②海外留学」「③起業」の3択で考えてたんです。転職は20代の時に1回していたし、当時の会社よりいい会社、行きたい会社も日本国内になかなかない、と思ったので見送り。本当は、英語ができたら外資系に転職したかったです。それで海外留学と起業で、すごく悩んで、より大変そうな起業の方を取りました(笑)。

美樹: そうだったんだ!

菜穂子: 起業するなら、体力が存分にあるうちの方がいいなと思って。なんとなく。

美樹: 50代になってめっきり体力がなくなったのを実感してるから、本当、それ同意だわ……。

菜穂子: 体力と精神力って、結構近いとこあるじゃないですか。「がんばりがきく」っていうやつ。

美樹: わかる。

菜穂子: 実際、これは体力があるうちに独立して、大正解でしたね。だって1人で事業を起こして、それを続けるって、大変だもん。やっぱり。

美樹: そうだよね。

菜穂子: もちろん楽しみとか、自由もたくさんありますけどね! だから30代で会社をやめて独立するのは、私はおすすめしますね。もちろん20代でもできるけど、30代ならではの人脈とか、会社の仕事への深い考察は、その後の仕事に特に生きると思うので。そして体力もある(笑)。

美樹: 確かに、タイミングとしてはベストな気がするね。

菜穂子: でもね、私はいつか、残された選択肢の「海外留学」もしてみたいんです。60歳ぐらいでいきなり海外移住とか、夢だなあ。

 

「惰性」で仕事をしているなと感じたら
それが、行動するべき時

美樹: 私の場合は、ちょうど40歳になった頃から、社外活動を意識し始めたな。出版社の社員として雑誌やWEBの編集を務める傍ら、少しずつ副業をしたり、仕事とは直接関係ない人と会ったり。

菜穂子: 副業からスタートしたんですね。

美樹: テレビのコメンテーターとか、外部メディアで執筆、イベントプロデュースの仕事などをしてました。

菜穂子: それは「会社の肩書き」ではなく「自分の名前」で仕事を始めていた感覚なのかな?

美樹: いや、自分の名前で仕事をしようなんて、これっぽっちも思ってなくて。向こうからいろんな話が持ち込まれてくるので、おもしろそうなことは片っ端から引き受けてた感じかな。結果的に、副業になってた。

菜穂子: 当時まだ「副業」っていう言葉も、あまり浸透していなかったですよね。「二枚目の名刺」なんていう言葉が出てきた頃で。

美樹: そうそう。

菜穂子: 会社員と副業。その両輪でずっと行くのかと思ってました。

美樹: 50歳になったのを機に、いよいよ本格的に、10年かけて定年後に備えようと思ったの。それで、これまでのキャリアをいったん解体して構築しなおそうと思って、大学院に入ったわけなんだけど……。

菜穂子: 異分野の方面にいきなり飛び込んだというわけですね。

美樹: うん、同じ仕事って、続けているとある意味「惰性(だせい)」でやっちゃうところがあるじゃない。慣れもあるし。

菜穂子: ああ、誰しもありますよね、そういう「倦怠感(けんたいかん)」に襲われる時が。生意気だけど、「目をつぶっても、左手でも仕事できるぞ」みたいな感覚。

美樹: そうそう。その時にやり過ごすか、行動するかが、ひとつ分かれ道かなとは思うよ。

菜穂子: それは激しく同意ですね。そこをスルーしてしまうと、自分に飽きてしまう。

美樹: 私は、そこに大いに危機感を抱いたんです。私は編集のプロだけど、全く違う分野の仕事にチャレンジしてみたいという気持ちが湧いてきた。

菜穂子: ググッと決断なさいましたねえ。

美樹: 大学院に入ってみたら、学問がおもしろすぎて、思わず会社を辞めてしまい、2年間は「システム思考」「デザイン思考」「マネジメント」を軸に研究に打ち込みました。

菜穂子: 学んでみて、どうでした?

美樹: 私にとっては「システム思考」が衝撃的で、「ものごとは異なった要素を組み合わせたシステムであり、その要素が関連し合って、ある目的を果たすものだ」という意識のワクが作られたかな。ひとことで言うと「俯瞰的な視点」が養われたというか。

菜穂子: あ、それはまさに、経営者、起業家の視点でもありますね。仕組みを作ること。

美樹: そうそう、ものごとを大局的にとらえる目と、緻密に細かくとらえる目の両方が養われた。それまでにはなかった視点だよ。それで、大学院を修了してから初めて個人事業主として仕事を始めたんだよね。

菜穂子: これで「定年」がなくなりましたね! パチパチパチ!

美樹: 憧れて入った会社で働ける喜びも大きかったから、定年まで働こうという気持ちも強かったんだけど。

菜穂子: 「倦怠感」に気づいて、自ら動いたというのは、どんな人にも参考になる話だと思います。

 

長く仕事を続けていきたいから
50代後半から起業する人も増えている

菜穂子: 私が主催しているパーソナルブランディングの講座ね、日頃から50代後半の方がたくさんお見えになるんですよ。

美樹: おお、それは定年後を見据えて?

菜穂子: まさに。定年を前に、独立起業の準備をしたいということで。

美樹: 定年がのびたとはいえ、会社は一生面倒を見てくれるわけではないからねえ。考える気持ちはわかる。

菜穂子: 早期退職制度がある会社は、退職金が割増されるので、そういうのも狙っているのかな?

美樹: ああ、なるほど。ただ、早期退職制度は全員に適用されるわけではないから、あんまり退職金の割り増しを意識しすぎない方がいいとは思うな。

菜穂子: そうなんだ! 会社によって違うから、研究しておく必要がありますね。

美樹: そうなの。

菜穂子: セミナーに参加されるのは、「会社員をしながら副業を始めて、数年後に軌道に乗ったら、そのまま独立したい」という人が多いですね。自分の会社員時代の棚卸しをして、新規事業を作るのに、ブランディングを学ぶのはうってつけなんですよね。独立後も役に立ちますし。

美樹: 実際、そのくらいの年齢からの独立起業って可能なのかしら? 

菜穂子: 「独立」自体は、誰でも可能でしょう。

美樹: 物理的にはね。ニーズがあるのかなってこと。

菜穂子: そこから、永続的に売り上げを立てて、顧客に支持されるかどうかは、個人の努力次第かなあ。なんかね、独立起業するって、トレーニングジムに通うようなものですよ。

美樹: ジム!?

菜穂子: 始めることは誰でもできるけど、継続して、さらに結果が目に見えて出るって、努力のかたまり。

美樹: 確かに言えてるね。メンタルタフネスも大切だし。

菜穂子: 会社経営って、本当にスポーツみたい。できる人は、きついトレーニング自体も楽しんでますね。

美樹: なるほどなあ。

菜穂子: 自分も独立してみて、会社を10年、20年、何十年と続けて経営することのすごさが身にしみて分かりましたね。これは会社員の時は本当に分からなかったなあ。さらに社員をたくさん雇っている経営者の方は、もう心から尊敬します。タフな人たちです。

美樹: しかも一代でコングロマリットを作り上げたり世界を変えるような会社を作ったりする人って、すごいよね。

菜穂子: いや本当に。

美樹: そこまでは目指さないとしても……。

菜穂子: 独立のいいところは、定年がなくなること! 何歳まで働くか、これからどう働くか、どこで働くか、ぜ〜んぶ自分で決められる。

美樹: 確かに、「自分で決められる」というのはタフネスを要求される反面、限りなく自由ってことだからなあ。

菜穂子: 自分の人生を自由にデザインできるのは、とても気持ちいいですよ。

 

一生、会社員でいる
という選択肢もアリだけど

菜穂子: 2021年4月に「高年齢者雇用安定法」が施行されました。

美樹: これで、70歳までの就労機会の確保が、企業側の努力義務になったんだよね。

菜穂子: 60歳定年を目指して企業で頑張ってきたのに、ゴールのひもがスッと奥へ進んでしまうような感覚はありますよね(笑)。最終トラックを走っていると思ったら「もう1周」っていう。

美樹: それによって公的年金の支給も後ろ倒しになりそうだしね……。

菜穂子: 会社員とし長く働きたい人には、いい制度だと思います。希望すれば長く働けるわけですから。安心ではあります。

美樹: そうだね。

菜穂子: 少なくとも、私たち60歳で引退はさせてもらえないわけですから、長く働く方法を考えなきゃなりませんね。制度が変わっていくということは、前の世代にロールモデルもいないから、自分で考えるしかないみたい。

美樹: うん、身体は若い頃よりは衰えていくだろうけど、厚みを増していく知恵を使った、新しい仕事を作っていこうと思ってるよ。

菜穂子: 働き方が変わることを恐れ過ぎずに、時代を見据えて軽やかに動いていきたいですね! 「Beautiful 40’s」では、これからも「定年」「雇用延長」を研究する記事を作っていきます。事例をお話いただける方、執筆いただける方は、大募集中です。

人物写真/鈴木智哉
インテリアコーディネート、イメージ写真撮影/守山菜穂子(Beautiful 40’s)


2021年04月22日 Posted by naoko | カテゴリー: Business | タグ: , ,

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