2018年11月19日

40代が「男女の差」を感じるとき |2018年11月の座談会

40代が「男女の差」を感じるとき|2018年11月の座談会

東京で、強く、美しく、賢く働く40代のためのメディア「Beautiful 40’s(ビューティフルフォーティーズ)」。メンバー3人が、40代周辺のできごとについて語り合う座談会。2018年11月のテーマは、40代が「男女の差」を感じるとき。ちょっと社会的なテーマについて、真摯に、率直に言葉を紡ぎました。

【写真中央】編集長 池田美樹 >twitter
【左】プロデューサー 守山菜穂子 >twitter
【右】ディレクター 及川恵利 >twitter 

 

かすかに自分が傷ついていく…
「違和感」のあったできごと

美樹: 先日、私が通う大学院で、ちょっとした「違和感」を感じたできごとがあったの。

その日、外部の先生が講演をしにいらしたんです。60代後半〜70代ぐらいの男性の先生。その方がビジネスシーンのお話をされた時、スライドに出てくるイメージカットのすべてが「男性ビジネスマン」だったの。

菜穂子: うーん、それは! 

美樹: 私は日頃、「女性、女性」って自分のことを強く認識はしていないけど、そのスライドを授業中ずっと見ていて、なんとな〜く、かすかに「傷ついていく」自分を発見したわけ。
それが、最近感じた「違和感」。

恵利: なるほど……。年代もあるでしょうし、「先生」という職業の種類もあるのかしら?

美樹: その方はまだ、ビジネスシーンでバリバリお仕事されてるんですよ。だから、お若い時の「ビジネスといえば男性」の感覚がまだ残っているのかなって。

恵利: 本人は無意識ですよね。単純に、10年前で感覚が止まってるのかな。

美樹: うん、女性を疎外しているという感覚は、全くないと思いますね。私は自分を「女性で働く人」という意識をさほど持たずに、「ビジネスパーソン」と思って来たんだけれど、男性しかいないようなシーンを見せられると、意外にも自分が傷つくんだな。って気がついた。

これが、すごい発見だったの。

菜穂子: 自分が疎外された感じ? もしくは、我らの「仲間」が、仲間外れにされた感じがするのかな。

美樹: そうかも。「この方の話しているビジネスの現場に、私達はいない」って、思っちゃったんだろうね。

菜穂子: 私もそれに似た経験をしたことがある。私が講師として登壇するセミナーの募集記事に、「ビジネスマンの皆様へ」って書いてあったので、「ビジネスパーソン」って直したこともある(笑)。まあ、主催者は悪気なく、自然に書いちゃったんだと思いますけどね。私は「あれ? 受講生、男性に限ってないけど?」って、不思議に感じました。

恵利: 根深いなあ。世間とのずれが、まだまだあるんですね。

美樹: やっぱり、そういうことって時にありますね。自分の中に、普段はないんだけど、あるきっかけで「自分が女性である」って感じることはあるよね。

 

「女性経営者」という
カテゴリが存在する? 

菜穂子: 私は今、会社を経営しているので、自己認識として「私は、経営者」なんです。

ただ、ある時、お友達に「菜穂子さんって【女性経営者】って感じがしないですよね」って言われて、面食らったことがある。

美樹: えええ〜?

菜穂子: トリッキーでしょ(笑)。「なに、なに? どういう意味?」って私も聞いちゃった。それでその時に一緒に考えたんですけど、「経営者」と「女性経営者」は、ちょっと別ジャンルだよねって話になって。

「菜穂子さんは、【女性経営者】っぽくはない。でも【経営者】のジャンルには入る」っていうことらしいんです。

恵利: なるほどー!

菜穂子: 経営者ってもともと男の世界だから「女性経営者」ってジャンルが誕生したのかな。それで、「女性○○」ってつくジャンルが色々、世の中に存在することに改めて気づいたんです。「女流作家」とか、「女流棋士」「女流画家」、そういう言葉が、たくさんありますよね。

美樹: 「女子アナ」「女性アスリート」とか。

菜穂子: 面白いなと思いました。そして、この分類に傷ついている人もいるのかもしれない。

しかしね、私はその「女性経営者」のジャンルに、そもそも全く興味がないんですよ。例えば、「女性経営者の会」とかには興味がないし、行かない。でも「経営者の会」なら行こうかなって思うんですよね。

自分が「女性経営者」のジャンルにいないと日頃から思ってるから、人からも「女性経営者っぽくないね」って言われたのだと思います。自己認識で、性別は女性ですけどね。なんか、ちょっと不思議な体験をしましたね。

美樹: うーん。その方の「女性経営者」というのは、どういうイメージだったんでしょうね?

菜穂子: わかんないけど…「ピンクのジャケット着てる」みたいなイメージかな(笑)?

美樹: パステルカラーの名刺を持って、名刺に顔写真が入ってる、っていうスタイルは多いかもしれませんね。女性経営者の方で。

菜穂子: あと、女性向けのビジネスをしている人。

美樹: あー、なるほど!

菜穂子: 女性が集まる「場所」を運営している社長さんとか、女性向け商材を扱っている美容業界の人とか。

恵利: それはあるでしょうね。女性の感性を利用してお仕事を作っている。

菜穂子: そうそう。社長も女性、お客様も女性で、女性の感性で良いコミュニティを作り、お仕事をしている人たち。これは自分の特性を利用しているんだから、良いことだと思いますよ。

美樹: 「女性の社長」が増え始めた頃に、女性の感性を活かしたお仕事が多かったんでしょうね。そのイメージが今でもずっと続いてるのかも。

恵利: 「女性経営者」っていうステレオタイプ、世間のイメージがまだあるんでしょうね。

菜穂子: うちは、お客様も、男女半々なんですよ。セミナー受講者もだいたい半々。性別不問。自分もあんまり「女性の感性で仕事してる」っていう自己認識がない(笑)。

女性ならではの感性っていうのは確かに存在すると思うし、実際、私にもいくらかは入ってるとは思うんだけど、なんていうのかな、私がそれを「売り」にしてないということでしょうね。

恵利: なるほど、自己認識の問題ね。

菜穂子: そう。でもさらに言うと、「女性経営者の会でお話してください」とか、「女性ばかり集まる場所でセミナーやってください」「受講者は全員、女性です」っていうのはよくあるし、それは違和感も特に感じないんですよ。仕事だから。

それなのに、自分が「女性経営者」っていう枠に入れられると、すごく気持ち悪い。「私を勝手に特定の枠に入れるな!」って思う。全く似合わないピンク色の服を、急に着せられるみたいな(笑)。ヒヤっとする所はありますね。不思議ですよね。

 

企業のCMから男女関係の
「未来像」が作られる

恵利: 私は鈍感なのか何なのか、「女性としての働き方」に何かを感じたっていうことはあまりないんですけど……。まあ、昔は相当、セクハラとかはあった時代で(笑)。それを通り抜けて今があるのは間違いないですが。

美樹: ありました、私も。

菜穂子: 私たちが若い時代は、めちゃめちゃ、ありましたよね、職場でお尻を触られるの、普通のことでしたからね。

美樹: うん。

恵利: えっ? それは……なかったかな(笑)。

菜穂子: え!? ないのー? 同業だったのに。「おはよっ!」って言いながらオジサンにお尻を触られる、みたいなの、なかったですか。

恵利: なかったなかった、そこまではなかった。

菜穂子: マジか。そうかー。そういうものだと思ってたあの頃(涙)。今から考えると、全体的に信じられない話ですけどね。20年前です。

美樹: その話で、また1本、別に座談会しましょう(苦笑)

恵利: 私が最近、変化に気づいているのは、企業のコマーシャル! 

キッチン周りや電化製品、家事に関するCMって、昔は「女性がお料理を作ってる」シーンが普通だった。でも最近は「男性がお料理を作っていて、奥さんが仕事終わりに遅れて帰ってきて、でも、料理ができてる」みたいなシチュエーション、すごく多いんですよ。皆さんも目にしてると思うんですけど、

菜穂子: あっ、多い! 確かに多い。

美樹: 確かに言われてみれば、そうだ。

恵利: それって、企業がすごく女性たちの目を意識してやっている演出だと感じます。「マーケティング」とか「学問」とか、「こうせねばならない」っていう思想よりも、実際すごく敏感に反応してるのは、企業の方だと思うんです。

実際に企業の現場で働いてらっしゃる方々が、CMなどを通して「未来像」を提案して、ちょっとずつ世の中が変わってくのかな、なんて思いました。

菜穂子: いい話だなあ。思い起こせば、お掃除の商品、お料理周り、洗濯関係など、夫婦かパートナーの両方が最近は必ず出てきますね。

恵利: でしょ? 「男性が料理を作っていて、奥さんが仕事で遅れて帰ってきて」は、一昔前と逆転してる図ですよね。でもこれがもう普通の風景。

美樹: こういう「平等感」が、もう当たり前のものだ、と思ってたから、私は男性しか出てこないビジネスシーンのスライドに逆に違和感を感じたんだろうね。

恵利:  CMや世相で「平等」と、頭ではわかっていても、お腹の中では納得できてない人たちが、まだまだいるのかも。ハラオチしてない人たちが。

菜穂子: まあ、世代感覚の違いは大きいかもしれないですね。あと地域の感性。地方在住者と、都会の違いなどもあるのかもしれません。

 

「男女差がない」から
ユニセックス化する社会へ
 

美樹: 男女雇用均等法から、30年近く経ちました。

恵利: 30年かー。それでも、まだまだ色々ありますねえ。

美樹: まだ過渡期なんですかね。私の感覚だと、もう「男女」っていう関わりのないビジネスシーンとか、日常生活が、普通に来ていると思っていました。

恵利: 今の東京の20代は、それが当然じゃないかしらね。男女差とか、全く気にしてないと思うし。

菜穂子: 何事も「ユニセックス化」していますよね。男・女の分類に違和感があるとか、LGBTの自己認識がある人も、すごくたくさんいますよね。

マーケティングの仕事をしていて、例えば商品やサービスを「男のための/女のための」って分けること自体、なかなか難しくなっていると感じます。

美樹: そういえば、大学院で私がアンケート調査する時「男・女・それ以外」と選択肢を作っています。

菜穂子: 官公庁や企業でもスタンダートになりつつありますね。

恵利: 私たちの世代が、両方の感覚をわかるブリッジ世代なんでしょうね。

美樹: ビジネスシーンの男女の差は、少しずつ、少しずつ埋められて、ゆっくり変わっていくのかもしれません。「Beautiful 40’s(ビューティフルフォーティーズ)」世代は、男女の差にこだわらず、軽やかに、仕事や生活を楽しんで欲しいなと思います。

菜穂子: うーん、「女を楽しもう」って言ったり、「ユニセックスだよ」って言ったり。ちょっと欲張りかなあ。でも両方の感覚があるというのも正直なところなんですよね。人から決めつけられるのはイヤで、その時々で、自分で選びたいのかも。

恵利: そう思います。今回は、ちょっと社会的なテーマを話せて勉強になりました。こういうのもいいね。

また来月をお楽しみに!


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