2018年05月16日

食文化研究家・スギ アカツキ|40’sお仕事図鑑

都会で美しく働く40代の 「スタイル」を探る人気連載、「Beautiful 40’s(ビューティフルフォーティーズ)お仕事図鑑」。今回のゲストは、東大卒の「食文化研究家」としてご活躍中の、スギ アカツキさん。「食」と「キレイ」の関係について、お話をお伺いしました。

文/守山菜穂子(編集部)

 

「キレイを作るカンタンサラダ」

 

「大人の女性に作ってもらいたい!ルウを使わないカレー」

 

「リバウンドを防ぐ美魔女味噌汁」

 

菜穂子: うわ〜、綺麗で身体に良さそうなお料理。こちらはアカツキさんの手料理なんですね。写真もお上手です。食文化の研究家って、具体的にはどんなことをされているんですか?

アカツキ: 人間の「食べる」生活が、どうやったら健(すこ)やかで楽しいものになるのかを、探求するような仕事です。食に関する「美味しい」と「楽しい」の追求ですね。

私は学生時代に、東京大学の農学部で、バイオ・サイエンス、有機化学、醸造学、発酵学、微生物学などを勉強していました。食に関係する科学的な知識を持っているので、最初はその辺りのフィールドで生きていきたい、って思っていたんです。

でもあるとき「食べることって、知識や科学だけでは語れないな」って気づいたんです。食べることには「美味しい」と「楽しい」が絶対に欠かせない。自分は食事を作ることも好きだし、食べることも好き。それで、美容食に加えて、「健やかな食文化を語れるような人」になりたと思いました。

菜穂子: 科学の知識がベースにあって、プラス「美味しい・楽しい」を提唱されているんですね。「健やか」とはどういうものでしょう。

アカツキ: 例えば私は、ベジタリアンでもなく、大酒も飲むし、人に勧められればポテトチップスも食べるし、「ペヤング」も食べます。でも、それが不健全かというと、そうではない。ペヤング美味しいですよ。そういう生き方のほうが自然だと思っているし、そういうことを自信を持って言える人になりたい。だから、食のことを、楽しく語れる専門家になれたらいいな、と思って今に至っています。

菜穂子: アカツキさん自身が、ぬかみそ漬けと玄米だけ食べてるわけじゃなく、現代の「普通」の食生活を実践しているんですね。安心しました(笑)。東大を出てから、どうやって「食文化研究家」になったんですか。

アカツキ: 最初は「長寿美容食(ちょうじゅ・びようしょく)研究家」と名乗っていたのですが、30歳のときに、「食文化研究家」という看板を自分で掲げました。

現在は、食品メーカーさんの商品開発や、イベントのメニュー開発、監修などのお仕事が多いです。例えば「お米を使って、九州で何かイベントをやりたいんだけど、九州の人が喜んでくれそうなメニューは何があるんだろう?」、こんな相談が来ます。食のイベントで、何を振る舞って、スタッフがどういう振る舞い方をしたらいいかなどを考えます。あとは、食に関する講演も多いですね。

菜穂子: たくさんのメディアに連載をお持ちで、テレビなどもお出になっているんですよね。

アカツキ: おかげさまで。あとは食に関するライター業、執筆業ですね。尊敬する料理編集者の岸 朝子さんが、亡くなるまでずっとライター業をやり続けた、ということに、私はすごく共感するんです。私も、人生でずーっと書き続けたい。実は、書いていることが一番好きなのかもって思っています。

菜穂子: 岸さんは、フジテレビの人気番組「料理の鉄人」で、「おいしゅうございました」と上品なコメントを残し、人気になった方ですね。テレビに出て、記事も書いて、まさにお手本のような感じでしょうか。アカツキさんは書くのも好きなんですね!

アカツキ: 大好き。書いて、食べていけたら最強、最高。もし生まれ変われたら、作家になりたいと思ってます。

菜穂子: ああ、わかります。私も本業はコンサルですけど、書くのも好き。書くのはすごくきついし、たくさんは書けないけど、ブログとか、この「Beautiful 40s」の記事とか、何かは書き続けたいと思っていますね。「書くことの意義」って、ありますよねえ。

アカツキ: 執筆は、自分の人生を豊かにするための「習い事」だと思ってるんです。きっかけや、チャンスを与えてくれる。

でも実は、最初に連載のお声がけをいただいたときは「無理~!」って思ったんですよ。自分がやりたくて始めたというよりは、「なにか書いて」ってオファーをいただいたから始めた形で。でも、連載を始めてみたら、苦しいんだけど、すごく楽しい。だから、書くことはずーっとやっていきたいですね。

ライター業は、4月から連載がもう本増えて、週本になります。

菜穂子: 週3本はすごい! 人気作家ですね。

 

40代女性の健やかな食べ方とは?

菜穂子: このメディアのテーマは「40代」なのですが、40代はどういう食べ方をしたら「健やか」になりますか?

アカツキ: とにかく、自分の食べ方を素直に受け入られる人が、健やかな人だと思いますね。

仕事柄、いろんな人の、食べているものの話を聞くのですが「本当はこういうものが大好きで、食べたいのに、食べていることを周りに言えない」っていう人が結構います。

例えば先日、すごく体重があって悩んでる女性がいて、「相談に乗ってください」と個人的に言われたんです。それで、「何を食べてます?」って聞いたら、すごく健康なことしか言わないんですよ。「野菜中心に」「ご飯はお茶碗、半分しか食べません」「夜は食べていません、ご飯を抜いてます」とか。私はその先を聞こうとは思わなかったんだけど。

菜穂子: 彼女が言っていることを実践していたら、絶対にその体重にはならないですよね。なんで言えないんだろう。

アカツキ: なりたい自分、理想があるんだけど、それが実行できていない。理想と現実とのギャップに苦しんでいるのかもしれません。

「食べているものを言えない」って、不健全ですよね。苦しいと思います。だから、まず、自分を認めてあげて。何を食べていても恥ずかしくないし、認めてあげると健やかな自分になれるよ、と、私は思うんです。

「いやぁ、私ね、昨日夜中にポテトチップスとか、大福とか、食べちゃいました。」みたいなことを、言っても良いと私は思うんです。

菜穂子: それはすごく大事な話ですね。自分が食べてるものの100%って、絶対に自分しかわからない。一緒に住んでいる夫婦や、親子でも、実は会わない時間に何を食べているか、知りませんから。

「自分が食べたものを、自分が認めてあげる」っていうのは、本当に「自分にしか」できない、自分と向き合う作業ですね。

アカツキ: 「昨日、コロッケ5個食べちゃった!」っていう後悔も、していいと思うんです。それを自分の中にこっそり貯めておくよりは、「食べちゃったけど、まあいっか!次の日は調整しよう!」と、切り替えができる人のほうが、結果、キレイな人が多いですね。

菜穂子: 「なかったことにしない」のが大事なのかな。自己肯定感の話にもつながってきますね。

アカツキ: 「自分の食べ方に、くよくよしない」のが大事。実践するのは意外と難しいですけど、これができたら素敵ですよね。あとは「私、夜なんて食べなくても、ナッツだけでいいの」みたいな人がいても、私は良いと思います。

菜穂子: 「食べ方」は色々あるってことですね。「私、すごい大食いなんです」っていうキレイな人もいる。逆に「私、ナッツしか食べない、小鳥みたいな食生活なんです」というキレイな人もいる。どっちでもいいんですね。

アカツキ: いいと思う。それとね。「私、大食いなんです」って言いながら、実は隠れてダイエットしてるからキレイ、というような人は、実は一緒にいても楽しくないんですよ

菜穂子: あ~! それはわかる(笑)

アカツキ: 長く付き合う人としての魅力がビミョーですよね。腹を割って、楽しくお酒が飲めない。本人の中で生き方に無理があるんじゃないかと。食べ方は「生き方」であり、その人を表す指標みたいな所がありますね。

菜穂子: 深いなあ。「食べ方は、生き方」。至極名言ですね。

アカツキ: 私が食の仕事をしようと思ったきっかけが、もう1つあります。以前、日本でAPEC(アジア太平洋経済協力会議)が行われたときに外務省で全てを取り仕切っていた責任者に話を聞いたことがあるんです。。彼いわく、、世界からいろんな要職の方が集まるAPEC開催の中で、実は、一番力を入れたのが、「食事に何を出すか」だそうなんです。「何をやるか?」の中で、「何をどう食べるか」が一番、大事なんですって。

菜穂子: 会議のレジュメよりも、食べ物が大事!

アカツキ: そう。「人とおいしく食事をすることは、人とつながる(=コミュニケーションの)基本だ」って話をしてくれました。その時、「食って最高!」と思いましたね。

池田編集長: 「食事外交」「ワイン外交」って言葉もありますね。

菜穂子: 食事することで紛争が防げたりするなら、食は世界平和への第一歩なんですね。そういえば、私たちの人間関係でも、仲直りするときに一緒に食事したりしますね。

アカツキ: あと、「マウンティング女子」ってドラマでも話題になったけど、女子の中で時々、やっかみ・恨み・嫉妬みたいなものがあるじゃないですか。それはべつにいいと思うんだけど(笑)、「食」の話でやっかみはない気がしているんです。

これまで食の仕事をしていて、負の要素や、いやな思いを感じたことが全くないですね。誰とでもつながれる。

菜穂子: 確かに。例えば女同士で「エステどこ行ってるの?」って訊きつつ、「あの子、あんなエステ行ってるんだって~」なんていうやっかみはあるかもしれないけど(笑)

「何を食べてるんですか?」に対して批判することはないですよね。「ここの、これが美味しいよ」って答えをもらったら、それを素直に「食べたい!」「買いたい!」となる。

アカツキ: 綺麗な人が「4,000円のマヌカハニー食べてる」って言ったら、「それ、私も食べてみたい!」ってなる。そこでやっかみにはならないですよね。

だから私、「食」って、人とつながれる、人と人とをつなげる材料になるんだと思っています。それが美容食や、健康食だったりすると、自分も高められるし、人ともつながれるし、さらにいいなぁ、って思っているんです。

 

38歳は「おばさん」のはじまり!?

菜穂子: アカツキさんは今年40歳になるとのこと。年齢についてはどう捉えていますか。

アカツキ: 私は、31歳で結婚しまして。その頃は、夫と2人で、毎日お互い、自由な生活をしてたんですよ。別々に飲みに行くのもよし、2人でどこか行くことのも良し、。なんでも良しだったの。

ところが36歳で、子どもがやってきました。連載などは続けつつ、仕事を少しセーブして、2年ぐらいは育児中心の生活を送っていました。

菜穂子: 生活が激変したんだ。私、お子さんが生まれる前のアカツキさんの家にお邪魔したことがあるんですが、モノがぜんぜんなくて、ものすご〜くスッキリ、片付いてた。あの部屋は今、どうなってますか?

アカツキ: 息子の車や電車のおもちゃで、ずいぶんにぎやかになりました(笑)。38歳の時、子どもを保育園に預けて、これで復帰できる!と喜び、本格的に社会復帰しました。

ところが復帰した直後、ちょっと下の世代に、私を同じ目で見ていないような気配を強く感じたんですよ。みんな、それとな~く、私のことを「おばさん」扱いするわけです。「ママだから、大変ですよね~」「疲れていませんか?」と。それで「あれ? 私、いつの間に、もしかして、おばさん世代に突入してるのか!?」と感じました。

菜穂子: 「お姉さん」から、いきなり「おばさん」になっちゃったんだ。

アカツキ: 356歳ぐらいって、おばさんでもないし、キレイだし、元気だし。勢いもあって、みずみずしくて……30代半ばまでは、まだ「20代の続き」という感じがありますよね。その最後の時代を、私は子育てに費やしてた。

それで、2年休んで復帰したら、いわゆる「おばさん」と言われそうな世代になっていた。そういう見られ方をされたときに、私、すごく落ち込んだんです。

さらにはランチ会食などしていて「おばさんだと思われないように頑張ってる女は、イタイ」とか、「あのおばちゃんはイタイよね」みたいな話題も出るようになって。心の中で「え? そういうネタを話題にされることなんて、今までなかったのに」って、すごくショックで……

でも、このショックな気持ちを、誰にも言えないの。

菜穂子: 世間的に「おばさん」と言われる分かれ目が、35歳ぐらいなのかな。

アカツキ: 私の個人的な実感ですが、ズバリ「38歳」なんじゃないかと思ってます。38歳っていうのは、40歳よりちょっと手前。39歳は、もうしっかり「アラフォー」。

それでその時「これはまずい、私とにかく、おばさんって見られたくない」「この、世の中からの見られ方は、どうしたらいいんだろう」って考えたんですよ。

それで、「おばさんネタを、絶対に自分から言わない」と決めました。おばさんキャラとして振る舞わないし、おばさんについての話題も出さない。「年老いていく」とか「美しく年齢を重ねる」なども、一切、口に出すのをやめようと。

菜穂子: 「おばさんと関係ない人」として振る舞うってこと?

アカツキ: そうです。例えば、実際、体力的に衰えたかと考えると、正直ぜんぜん。自分はかなり忙しい生活をできているし、体力もあるし、気力もある。

それに、家族や子どものことを考えながらも、「今日、これ食べたい」「あれ食べたい」とか、「あれをやりたい」って、自分が考えていることも、中学・高校の頃とたいして変わっていないんですよ。

菜穂子: 要するに、元気なんですね(笑)

アカツキ: そう(笑)。もしかしたら、外から見たら「シワが増えた」とか「おばさんくさくなった」と見えるのかもしれないけど、自分の中では負の変化はない。。だから、まず、思い込みを捨てようと思った。人にご迷惑さえおかけしなければ、不快な思いをさせなければ、おばさん関連のことは自分から持ち出すのはやめよう、って思ったんですよ。

菜穂子: 「自分はおばさんじゃない」として、じゃあ、何ですか?

アカツキ: 「女性」。

菜穂子: 「女性」、うん。いいですね。私も「いち女性」がしっくり来るなあ。ヨーロッパマダムみたいに、一生それでいたい。

アカツキ: 「女の子」だとも思ってないし、「20代」だとも思っていない。

菜穂子: ちなみに、「女子」という言葉はどう? 39歳のアカツキさんにとって。

アカツキ: 私ね、もともと年子のお兄ちゃんがいるんですよ。だから、どちらかというと、自分が女っぽいという意識がないんです。

菜穂子: 「女子」は若い時からしっくり来てなかったんだ。

アカツキ: そうですね。なんというか、たまたま「女性」。

菜穂子: 「オトナ女子」は?

アカツキ: 「オトナ女子」もないなあ。「人間」のほうがいいな。

菜穂子: 「人間」! それが一番、アカツキさんっぽい。

アカツキ: 兄の影響だと思うんだけど、男の人が「これカッコいいよね」と言うようなものに、自分も憧れますね。40に近づいて、いち「人間」にまた戻ったぞ、という感覚です。

菜穂子: 面白いですね。今回、「Beautiful 40s」でせっかく、ご縁をいただいたので、ぜひその「人間」、スギ・アカツキさんの連載を作りましょう! タイトルは、「美しく健やかな食の話(仮」ってどうかしら。

アカツキ: 「食べる話」とかでもいいですよ。直球で。その方が自然だな。

菜穂子: スギ・アカツキの「食べる話」、いいですね。それでは近々、連載を開始します!

アカツキ: 連載の4本目が決まったみたい。がんばります!

 

PROFILE

スギ アカツキ(Sugi Akatsuki)

食文化研究家・長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。基礎医学、栄養学、発酵学、微生物学などを幅広く学ぶ。在院中に方針転換、研究の世界から飛び出し、独自で長寿食・健康食の研究を始める。現在では食に関するコンサルティングの他、TV、ラジオ、雑誌、ウェブなどの多方面で活躍中。

twitter @akatsukinohana

Instagram @sugiakatsuki

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インタビュー写真/池田美樹(編集部)

テープ起こし/ブラインドライターズ


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