2018年02月14日

「色気」ってどこから来るの? 40代女性が考える大人の色気

池田: 「Beautiful 40’s(ビューティフルフォーティーズ)」、いよいよ11回目ですね。

守山: 秋が深まって参りましたね。

池田: 今、枯れ葉舞い散る、表参道のテラスからお届けしています。

守山: ケヤキ並木が黄色く色づいて。本当に風情があって、美しいですね。

池田: 美しいですね。さて今回は「大人の色気(いろけ)」という宿題が出ていましたけど。

守山: 宿題が出てましたね(笑)。考えてきましたか?

池田: ……「色気」ってね、もともとは「男の人に選ばれるために女性が示すもの」だったと思うんですよ。辞書を引いても、そう書いてある。ただ「色気」の意味が、最近、変わって来ているんじゃないか? と、私は感じてます。菜穂子さんはいかが?

守山: そうですね。特に「40’s」、私達40代女性が考えたい「色気」って、単に男性に対してセックスアピールを示すとか、そういうことじゃなくて。なにかこう、人として、内側からにじみ出てくるものがあるんじゃないかな? と、1か月間、考えておりました。

池田: さすがです。じゃあ、その2人の1か月間の宿題について、これからお話しして行こうと思います。

 

その人の人生を「生き切ってる」
それが「大人の色気」なんじゃないか

池田: 菜穂子さんは「大人の色気」って、どういう風に考えてます?

守山: はい、あのー、先月も話したんですけど。比較的、苦手ジャンルで(笑) 

池田: (笑) お互いにね。

守山: 難しいなと思って。どうやったらうまく考えられるかなということで、得意ジャンルに引きこもうと(笑)。マーケティングとか宣伝広告の立場に、置き換えて考えてみたんですね。

池田: おっ。聞きたい。

守山: マーケティング・宣伝の世界で「色気」というと、「シズル感」という言葉がありまして。

池田: 「シズル感」。

守山: 「シズル(sizzle)」というのは元は英語の擬音語で、お肉を焼くときの「ジュージュー」とか、揚げ物する時の「シュー」とか、そういう音のことを言うんです。その擬音語から転じて、「モノ」そのものを表す「みずみずしさ」みたいな言葉に変わっていて、それが「シズル感」っていう広告業界用語になっているんです。

池田: 「シズル感」というと、ボトルに付いてる水滴とか?

守山: はい、例えば「お肉」は「お肉」らしく見える、冷たいものは「ボトルに付いている水滴でその冷たさを伝える」とかね。そのモノを、写真やキャッチコピーで表現するのですが、「これはシズル感ある表現だね」なんて、ほめ言葉になったりします。これって、その商品の「色気」っていうことに近いと思っていて。「ケーキはケーキらしく」「揚げ物は揚げ物らしく」見えるというのが、その物として「色気がある」ということなんだな、と考えてたんです。

池田: うんうん。

守山: それを人に置き換えた時、例えば1人の働いてる女性が「働いている女性としてイキイキしている」っていう、この状態。これは、「人としてすごくシズル感があるな」って思って。

池田: 確かに。イキイキしている人は、すごく素敵ですよね。

守山: 一番イキイキしている人は誰だろう? と思ったら、私はスポーツ選手が思い浮かんだんです。

池田: スポーツ選手と「シズル感」って。今のは何か、すごくマッチした。

守山: それは「汗をかいてる」みたいなこともあるんだけど、やっぱり肉体の限界まで追い込んで、その目の前の勝負から1ミリも逃げずに、立ち向かっている姿って、人としての「シズル感」がある。それは男性・女性、関係なくある。その人の人生を「生き切ってる」、そういう感じが「大人の色気」なんじゃないか、っていう結論に至ったんですよね。

池田: なるほどね~。なんかすごく納得したなあ。

守山: 前からこの「40’s」でも良く「TPO」の話をしているんですけど。例えば職場では、職場の仕事を全(まっと)うする。パーティに行ったら、パーティを全力で楽しむ。山登りする時には、山の空気と一体化するとか。そんな風に、今、自分がいる場所を、思いっきりエンジョイして、そこに対して全力投球の人っていうのは、すごく色気がある。男性・女性どちらでも、色気がある人だなと思いますね。私が捉えている「色気」というのはそういうものでした。

池田: なるほど。「今ここに集中する」っていうのは、まさに、マインドフルネスの考え方だよね。

守山: ああ、そうですよね。

池田: 「自分を生き切る」ということは「シズル感」があり、「色気がある」ことにつながり、かつ「幸せに生きていく」ことにもつながって行くんだ……と。今、ハッと思いました。

守山: ごはんを食べている時に「ごはんの味を味わいもせずに、スマホを見てる」っていうのは、やっぱり、色気がない状態で。

池田: 確かにそうね。

守山: 今、食べている物を味わって、かみしめて「わあ、美味しい!」って言って、ちゃんと色と形を見て、香りをかいで……としていると、その人の食べ方は、すごく色気のある食べ方になるのかもしれないです。

池田: 目の前に誰かいる時には、その人の会話にしっかり集中して楽しむ、と。

守山: そうですね。目を見るとか、ちゃんと相手の動きに、気配に「沿っていく」みたいなことですかね。

池田: なるほど。色気って、すごく深いなと思った。

守山: だから、「色気不足で困っている自分」がいたら、まずは、それを伝えたい人に、相手に、集中する。自分の意識がバラバラしちゃって「なんか今、あれもこれもやらなきゃ」って思った時は、それを考え過ぎずに、「今日の自分」に集中する。すると、色気が少しずつ表現できて行くのかな、なんて思いますね。

池田: 菜穂子さんの色気についての考え方、私にとってすごく納得するものでした。

守山 良かったです。

 

たたずまいも、見た感じも美しい
「自然体」が、まさに「大人の色気」

守山: では後半。色気とは、美樹さんにとって何ですか?

池田: 私は「自然体でいられる人」っていうのが、すごく色気があると、常々思っています。自然体って、「だらっと弛緩(しかん)している状態」という風に思いがちなんだけれども、違うんですね。「すぐに次の動作に移れるように、身体から余計な力を抜いて、スタンバイしてる状態」が「自然体」なんですって。これは、とある本で読んでからすごく印象に残っていますね。

守山: なるほどね。

池田: 内田樹(たつる)先生と、甲野善紀(よしのり)さんという武道家の方の本だったんですけれども。

守山: 甲野さんは、合気道(あいきどう)の先生ですね。

池田: そうです。武道とかそういう世界で「自然体」は、そう定義づけているんですって。この言葉……女性誌あたりでは、本当によく使われるじゃないですか。「自然体でいた方が素敵!」なんて。

守山: 言葉としては、すごく良く出て来ますよね。

池田: でも、その言葉について、自分はすごく誤解してたなと思って。「すぐ次の動作に移る」とか「すぐ次のアクションを起こせる」っていうのは、本当に、自分が1回リラックスして、ひと呼吸しておかないとできないことだなって、納得したの。

守山: なるほど。自然体っていうのは、ただラクなことでもないですね。

池田: そう! ダラっとしてると、すぐに次のことができないからね。そういう「自然体」を身に着けている人が「きちんと存在感のある人」じゃないかな、と思っているんです。

守山: 立っていても、座っていても、何か動作をしていても「芯がありつつ、無駄な力が入っていない」みたいな方、いますよね。

池田: そういう状態って、たたずまいも、見た感じも、すごく美しいじゃないですか。それが、まさに「大人の色気」なんじゃないか、と考えました。

守山: 深いですね……。「色気」って、やっぱり身体性の問題と言うか、身体から来るものですよね。身体全体からにじみ出るものっていうか。

池田: 言い換えれば「余裕がある」という状態なのかもしれない。その本に書いてあった内容なのか忘れましたが、その状態になるには、やっぱり鍛錬(たんれん)が必要なんですって。「自分の意識を磨く」とか「身体能力を上げる訓練をする」とか。そうして初めて「自然体」という状態が身に着くんですって。

守山: ああ、さっき私、「身体的な」って言いましたけど、やっぱり精神的なものもありますね。すぐに次の所に移れるということは、意識がはっきりと「今」に焦点を合わせていないとダメですもんね。

池田: 人間「何も考えない」っていう状態には、どうしても絶対になれないんですって。でも「できるだけ何も考えない状態」を、訓練で作っていくことはできるそうなんですね。

守山: へえ~。面白い。

池田: だからそれを意識的に作る。例えば私の場合「お風呂に入っている時は、何も考えない時間にしよう」って、いつも決めてるんですよ。お風呂に入っている時も、ついつい「明日の企画書どうしよう」とか、考えてない?

守山: なる、なる(笑) つい考えてる。

池田: お風呂に入ってる時ってなぜか、企画書のことを考えがちなのよね。「ああ、これはダメだ」と思って。15分とか20分、それくらいの時間じゃないですか。長くても30分とか。その間、何も考えずに、とにかくお湯にたゆたおうって、ある時、決めたの。そしたらね、その間に気持ちも身体も、すごくリラックスできるんですよね。

守山: 1日1回、そうやって身体をリセットして、隙間(すきま)を作るという感じでしょうか。

池田: ですね。マインドフルネスの本を読むと「瞑想(めいそう)しましょう」と、スキルとして書いてあるんですけれども。瞑想する時間がなかなか作りにくい場合は、「お風呂に入っている間だけは、何も考えないように努力する」。これは私のおすすめの方法です。

守山: そうやって余分なものを抜いて行くと、やっぱり、最終的に。

池田: 色気が身について行くような気がするんですよね〜。

守山: うん、そうかもしれない。逆に「何かしながら、次のことをずっと考えている……」、いつもバタバタしてる人って、色気ないですよね。

池田: ないですね(笑) 

守山: 「あれもこれもやらなきゃいけないんです~」「あれもこれも困ってるんです~」っていう人、色気ないですよね。やっぱり、「余裕がある」っていうことと、「色気」が「ニアリーイコール(≒)」なのかも!

守山・池田: うん(納得する)

池田: そんな大人になりたいもんだな、と思って。

守山: なりたいですね! 

池田: 私も、お風呂で何も考えないっていうのを毎日、実践は続けてるんですけどね。なれるでしょうか。

 

次回、最終回は
「40’s」が抱える永遠のテーマを

池田: さて「Beautiful 40’s」11回目は、「大人の色気」について、お互いに1か月考えてきたことを、宿題として発表しましたね。

守山: 発表しました(笑)

池田: いや〜、ボディを磨くとか、ファッションの話になるかと思いきや!

守山: 思いきや。なんだかすっかり、精神的な話をしてしまった2人なのですが。

池田: それが私たちの、40’sの「現在」ということでしょうか。

守山: 私たちの現在。そうですね。まあ、こういう捉え方もあるということを、聴いている(読んでいる)方にも楽しんで頂けたらと思います。

池田: また10年後に話したら、違うことを話しているかもしれませんね。

守山: ホントですね。でもね、1か月間、考えてきたのは、良かった。日ごろ考えていないことを突き詰めて考える、哲学的な1か月でしたよ。「私にとって色気って、何だろう?」って、すごい考えた1か月だった。

池田: お互いにね(笑) 苦手分野だから一生懸命、考えないとね。

守山: たまにはいいですね! こういう、自分が持っていないテーマについて考えるっていうのは。良いなと思いました。

池田: さて、1年間限定でやっていたこの企画、いよいよ次回、最終回を迎えることになりました。

守山: なりました!

池田: 長かったような、短かったような。

守山: ね! でも、あっという間だったな、やっぱり。いろんな話しましたね。では、来月の宿題。「おばさんと、いい女の違い」!

池田: うわあ~、これもまた、難しいな。

守山: これ結構、永遠のテーマじゃないですか?

池田: うん。実はこの連載サウンドマガジン「Beautiful 40’s」を始める時に、これが大テーマだったんですよね。

守山: そうなんです。それについて考えたくて。なんで40代・50代の女性で、「おばさんっぽくなってしまう人」と「いつまでも『いい女』でいられる人がいるのか?」 っていう。そこを考えたくて始まった企画なんです。

池田: 1年かかって辿り着いた結論を、来月、皆様にお届けしようと思います。

守山: わあ~、楽しみですね。

池田: ではまた、来月もお聞きください。

※この記事はサウンドマガジン「Beautiful 40’s」の書き起こしで、2016年11月に収録されました。

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※この書き起こしはテープ起こし専門ブラインドライターの松田昌美さんにお願いしました。視覚障がいのある松田さんのブラインドライターというお仕事についてはこちらから

写真/池田美樹(編集部)

 

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