2018年02月26日

ノルウェー出身の若い男と暮らしてみれば vol.2 猫の匂い

文/池田美樹

猫の匂いというものは

「匂い」が好きだ。

雨の降り始めの土の匂い、夏のムッとした草いきれ、材料が料理に変わる瞬間、冬のキンと冷えた空気…匂いを感じると、なんだか本能的に「生きている」という感覚がする。

そして、今一番好きなのは猫の匂いなのである。

猫の身体に鼻を近づけて嗅いでみる。我が家の猫はまだ子猫なので、ちょっとミルクのように甘い獣の匂いがする。これがいい。背中、脇腹、おなかと嗅いでみるが、おなかが一番匂強く匂うようだ。長毛種の毛に鼻を埋めて嗅いでいると、自分も子猫になったように感じる。

実家にいる頃は、大学時代に拾ってきた猫を手始めとして、何頭も飼い続けてきた。田舎の実家では、猫を自由に外に出していたので、彼らの身体からはなんともいえない野生の匂いがした。

雨の日に濡れて帰ってなど来ると、荒野で濡れた動物たちもこういう匂いがするのだろうかと思う、野獣らしいタールのような匂いがした。

実家のすぐ前に、幹線道路が通ってからは外に出せなくなった。実家の中で、猫たちは窮屈そうだったが、案外気楽にのほほんと生きているようにも見えた。

今、私の部屋はマンションの10階なので、もちろん猫を外に出すことはできない。その代わり、できるだけ長い距離を走り回り、できるだけ上り下りが楽しめるようにと家具の配置も工夫した。

ひとしきり運動した後など、顔を眺めながら私に擦り寄ってくる。そして大きくあくびをするのだが、このあくびの時の猫の口から漂ってくる匂いも好きだ。猫の餌、通称カリカリに含まれる魚の匂いがする。猫から魚の生臭い匂い。なんとも良い相性だ。この匂いは、ただし、猫があくびをするときしか嗅げないので貴重だ。

そして、猫といえば、肉球の匂い。これは、ポップコーンやらバニラやら枝豆などの匂いがするのだそうだ。知らなかった。

実家の猫たちも、我が家の猫も、肉球を嗅いでみたことはなかった。ためしてみよう、と、おとなしくくつろいでいるところに近寄り、前脚と後ろ脚をつまみあげ、鼻に近づけて嗅いでみる。

…何の匂いもしない。

そうか。猫が唯一、汗をかくところがこの脚の裏だけらしいのだ。今はまだ汗をかくほどの季節ではない。だから何も匂わないのだ。まだブニブニと弾力のある若い肉球を押しながら、私は、実家で看取ってきた何頭もの猫たちのガサガサだけど、年期の入った肉球を思い出していた。

夏になったら、我が猫の肉球の匂いを嗅いでみよう。どんな匂いがするだろうか。

そして、彼が成長した時は、どんな野生の獣の匂いがするだろうか。今から待ち遠しい。

写真/池田美樹

 

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2018年02月26日 Posted by miki | カテゴリー: Life-Style | タグ: ,

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